人間の世界では度々“格差”が話題となるが、ペットの世界にも似たようなものがあるように思えて仕方ない。知識を得ようとどんどん先を歩いていく人たち、取り残されていく人たち。これ以上ないほど大切に可愛がれている犬や猫たち、そしてまるでいないかのように放っておかれ、命さえ奪われることのあるコたち…。人は、なぜ、動物と暮らしたがるのだろう? その狭間で、犬や猫たちはただ日々を淡々と生きている。
つながる命…/©KM
世間では、「手がかかる子ほど可愛い」とはよく言う。Kさんにとって、もはやそらはなくてはならない存在だ。1本脚が悪い、それがいったい何だというのだろう。可愛さ、愛しさが増せば増すほどに、Kさんは思うそうだ。
「保護犬はなにも特別なコではありません。同じ命をもった、犬という生き物です。もし、これから犬と暮らしたいと考える方がいらっしゃったなら、ペットショップに行く前に、保護犬の譲渡という選択肢もあるのだということを一度考えて欲しいです」
今日もKさんはそらを連れて散歩に行く。ガンガン走った先代のコとは違って、そらとの散歩はゆっくり、のんびり。一緒に歩く道、公園、風の匂い、空の色に先代のコを感じながら。ふとそらが首を上げ、尻尾を振り出した。どうやらまたどこかの人を見つけたようだ。
数えきれないほどの命が存在するこの世の中で、出逢えたことこそが奇跡。Kさんご一家+くり+そら=「幸」/©KM
取材・文/犬塚 凛
構成/ペットゥモロー編集部