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ペットの市場に置き去りにされたある柴犬の話

2017.06.15

この子犬は里親希望者が現われ、一旦トライアルに出たものの、甘噛みがひど過ぎて戻ってきてしまった。その姿を見るにつけ、Kさんの心は動く。ご家族と相談し、考えた末に、Kさんは「多分、甘噛みはなんとかなるだろう」と、その子犬を引き取るにことに決めたのだった。

「最初の頃は先代のコのことがだんだんと薄れていって、そして次のコを飼うのかな?と漠然と思っていましたが、決してそんなことはありません。亡くなって2年経つのなら、その2年分の想いもあり、あのコはあのコであって、不滅の存在。私の中にはいつまでもあのコがいて、それは決して変わることはありません」

その頃、Kさんはこう思えるようにもなっていた。加えて、60歳という年齢から、もう一度犬と暮らすなら、それも子犬から飼うとなるとこれが最後のチャンスだろうとも考えた。こうして子犬は“そら”と名付けられ、Kさんご家族の仲間入りをしたのである。

「連れてきたのはいいんですけど、やっぱり甘噛みがすごくて、それに女のコのわりにはとにかくイタズラ好きというか、電気コードから柱にテーブルの脚、ソファのカバー、あれこれかまわず噛み壊すので、仕方なく一時期は電気コードも全部外して部屋の電源なし状態で過ごしました。散歩から帰って足を洗うにもウゥ~と唸るし、寝ているところを触ればまたウゥ~と唸る。先代のコはまったくそういうことがなかっただけに、いかに犬のお手本のようないいコだったのかということをそらを見て改めて感じたりしていますよ」とKさんは笑う。

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「はい、いろいろイタズラやっちゃいました、ごめんなさい」byそら/©KM

「でも、決して比べるという意味ではなく、そうやってそらと過ごすことでまた先代のコのことを思い出す。だから、今でもいつも一緒なんだということを強く感じられるようにもなりました。次のコを飼ったら、前のコのことを忘れるなんていうのはウソですよ。それに、“犬を飼う”って、2頭目からやっと言えることなのかな?とも思ったりします。だって、そらはいろいろ手を焼くこともあって同じ犬とは思えませんから」

再び朗らかに笑うKさんだが、気になっていることもある。それは、そらは散歩があまり好きではないということ。少し走っただけで問題の脚が痛くなるのか、違和感があるのか、そのまま地面にはつかず、3本脚になってしまう。体を触られると唸るのも、もしかしたら脚のことが関係しているのかもしれない。その代わり、人が大好きで、見知らぬ人でも寄って行き、撫でられようものならオシッコ前であるとウレションしてしまうくらいだ。よって、そらにとっての散歩は、人に会うための散歩のようなもの。

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少し運動をしただけで後ろ脚が上がってしまい、3本脚で歩くそら/©KM

「成長していく段階で、何か不具合が出てくるようであれば手術が必要になることもあるかもしれないと病院では言われているんですが、日々保護される犬たちを見ていると、そらは健康なほうだとつくづく思います。脚のことがなかったら、売れるコだったと思うんですよ。それが結局保護されることになった。真面目で愛情のあるブリーダーも一部にはいるんでしょうけど、何も考えずにただ売れるコを繁殖する、今売れる犬を繁殖する、産めなくなればそこでおしまい、売れなければ物同然に放棄するってどういうことなんでしょうね?」

そう言いながらKさんは愛おしそうにそらを見つめる。そんな声が聞こえているのかいないのか、時々眉をぴくつかせながら気持ちよさそうに目を閉じて眠っているそら。実際、柴犬は近年人気が高いが、それに比例するように保護される柴犬も多いという。Kさんは現実を知らない人がまだまだ多いということを憂える。それでも以前は“保護犬”と言うと何のことやら?と相手にぽかんとされることが多かったが、最近では「うちのコ、保護犬なんです」と言うとわかってくれる人がいることが救いだと。

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