『洗脳と平和』
ちなみにオレが一緒にサウナ入った中で一番オシャベリだった人は、銭湯サウナの常連オヤジでもなんでもなく、フィンランド人で“キングオブサウナ愛”と呼ばれる、そして当人も「サウナは教会に入るように……」っていってる国際サウナ教会のリスト・エロマ会長でした。
別にフィンランドの格言とは関係なく“サウナの会話はイヤだ”って人は、それはそれで仕方ない。無会話推奨型サウナもあるだろうから、そういう所にいけばいくしかないよな〜、コミニケーションの場としてサウナに行く人も多いんだから。
ただ、フィンランドの格言持ち出して“サウナでの会話はおかしい、マナー違反だ”ってのは、情報を間違って鵜呑みしちゃってるって話ね。だけど、その程度の情報鵜呑みはまだマシなんだよね。なかにはシャレなにならないサウナ情報の鵜呑みがあるからさ。
もちろんサウナに関する情報って大事でさ、そういう情報を頼っていいサウナに行くってことは普通によくある。でもたまにそういう情報に混じって、完全にビジネス優先のステマ情報が混じってんだよね。
そういうエセ情報が増えたのも、サウナが段々ポピュラーになってきたっていうことなんだろうけど、そんなビジネスステマ情報ってのは半プロが流すから、うまく書くしね、鵜呑みにしやすいんですよ。いやもう洗脳されやすいといってもいい。最近、オレのサウナ師匠もそのビジネスステマに洗脳されちゃう人が多いのを非常に危惧されててね、もう警鐘鳴らさなきゃといってる。
でも、「洗脳には気をつけろ!」とかいうと、絶対に「人に干渉するとはなんだ! サウナは自由だろ」みたいに反発する人も出てくるんだよね。
警鐘を鳴らしている方としては、“そんなステマから開放された方がいいよ!”と、むしろ自由になることを促してるのに、それを自由への干渉だと思っちゃうんですよね、洗脳されてる人って洗脳されてる自覚がないから。
自覚がないから、洗脳を外そうとする行為を逆に「自由を奪うのか!」と構えちゃう。本当は自分が一番洗脳にがんじがらめにされて自由を奪われてるということに気付かず、本当の自由に拒否反応を示して、反発して、キ〜ッ! なんてヒステリックになったりする。
そこら辺は、カルトに洗脳された人に限って「信仰の自由!」って声高に、それこそマナー違反の大声で騒ぐことでもお馴染みではございますが。
とりあえず「オレの自由に干渉するな!」的なこと言い出す人がいたら、もしくは自分がそう思ってると感じだしたら、その自由ってヤツははちっとも自由でない世界に入り込んでるかもしれないので注意をした方がいい。
でもこんな事書くと、今度は「そういうこと書いてるオメェが洗脳されてんだろ!」っていう人も出てきてね、もうこうなってくると話は終わらないんだけどさ。その場合、話を終わらせないようにいつまでも噛みついてくる方にだいたい問題があるんだよね。なんでオレはこの話、ココで辞めます。
あ〜結局一番自由なのは、サウナの常連オヤジだな〜。あの域に達したい!
「今日はカカアに怒られッから、呑まずに帰るわ!」
なんて言って銭湯出たくせに、オレが行った呑み屋でゴキゲンで顔を赤くしてる、ああいうオヤジにオレはなりたい。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。
■連載/カーツさとうの最強サウナ熱伝