■花好きが多いのは?
生花店の登録件数は、この10年で2万8264件から2万1309件へと減少している。スーパーでも小振りの花束や仏花を扱っていたり、インターネットで注文する人も増えているのが影響しているのかもしれない。
人口約10万人当たりの登録件数でみると、1位は鹿児島県(28.06件)、2位は石川県(26.64件)、3位は大分県(23.83件)となった。続いて山梨県、長崎県、宮城県、北海道とかなり分散しており、地域的な偏りは見られない。
1位の鹿児島県は、日本一墓参りを欠かさない県と言われている。墓地に行くと、盆や彼岸でもないのに、いつも花が手向けられていることに霊園も驚いているという。仏壇も同様で、枯れたら新しいものに生け直すのが先祖代々のしきたりのようだ。ご先祖様を大事にする県民性が、花に親しむ機会を増やしていると 言えるのかもしれない。
2位の石川県は、加賀野菜など農産物のブランド化に成功しているところ。花でも「エアリーフローラ」という七色のフリージアを開発しており、2013年 には年間を通じて優れた品種に授与される日本フラワー・オブ・ザ・イヤー特別賞を受賞している。九谷焼という器の文化もあり、美意識も高いことから、自然と花を生けようという気になるのではないだろうか。
3位の大分県は、キク、バラ、ホオズキ等の全国有数の産地。冬期温暖な沿岸部や高冷地に準ずる冷涼な内陸性気候の気象条件をいかした栽培により産地を拡大したためで、身近に花がある環境が「家庭にも花を」という気持ちにさせるのかもしれない。1位から3位までの理由がこれだけ異なると、生花店の数の多さに地域的な偏りがないのも納得できる。