■生花をめぐる今後の傾向は?
現在の花き市場では輸入花が増えており、母の日のカーネーションは既に半数が輸入品。農林水産省によると、2012年に日本国内で販売されたカーネーションの52%が外国産になっている。キクも、急速に輸入が増加している品目。 特に、マレーシアからのスプレイギクが多く、さらにベトナムのスプレイギク、中国の中大輪キクの輸入も増えている。年に2回の彼岸と盆、正月がキク類の出荷ピークで、伝統的行事や祭礼に海外の力が必要な時代になっていることを痛感する。
しかし輸入生花が増えると、「花の名前が覚えられない」という悩みに拍車がかかる可能性も高まる。覚えられない理由のひとつに名前のカタカナ表示があげられるが、実は、輸入花はすべてを漢字表記にはできないため、植物学会で学術用語としてカタカナ表記になったという経緯がある。例えば、アレンジや生け花に使われるストレリチアは和名が極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)だが、漢字で書かれている方が花のイメージがわきやすく、しかも忘れにくい。輸入花が増える今後、少し工夫してもらえると花への親しみも増すのではないだろうか。
花は、飾る楽しさに加えて運気や癒しを与えてくれるのも魅力。風水では、金運や恋愛運、健康運をあげるアイテムとして、どんな色の花をどの場所に飾るかをアドバイス。生気のあるものを飾って周辺をキレイに保つことを説いてくれるので、家全体を良い環境にしてくれる。また、花が心に及ぼす影響やパワーを学んで、疲れを癒したり自信を与えてくれたりといった花を使ってセルフコントロールする花のセラピーも人気だ。
最近の花屋の店頭には小さめのブーケが置かれていることが多く、花の背丈やバランスを整える手間がなく、価格も手頃と、売る側の「気軽に飾れる」環境は整ってきた印象だ。花は、なくても生活に支障がないものだけに、逆にあると豊かさを感じられるもののひとつ。毎日を楽しむためにも、花のある生活を大切にしたいものである。