ビジネスマナーとしては、初歩の初歩である名刺交換。当たり前すぎて、もはやマナーを見直すことすらしないビジネスパーソンは多いかもしれない。しかし、時々、教科書通りの知識では対処できないことや、疑問を感じたままあいまいになっていることはないだろうか。そこで、名刺の専門家である福田剛大さんに、名刺交換についての素朴な疑問への対処法や、名刺交換時の雑談のコツ、名刺の最新トレンドについて教えてもらった。
■名刺交換!こんなときどうする?
名刺交換をしていると、わいてくる素朴な疑問。それぞれの正しい対応を教えてもらった。
1.目上の人が先に名刺を差し出されたらどうする?
「名刺交換のマナーとして、目下から先に名刺を差し出すことが通例になっているので、気まずいですよね。『名刺を遅れて出して申し訳ありません』と言って渡すことはマナー違反です」
●正しい方法
・「申し遅れました」と言いながら、相手の名刺よりも下の高さから出す。
「目下から名刺交換をするマナーをわかったうえで、あえて先に名刺を差し出す人もいます。それは、ガンマンの早打ちと一緒で先に名刺を渡すことで、場に優位に立てることを知っているからです」
2.名刺入れは使わなくてもいいの?
「名刺入れは、尊重の意を込めて相手の名刺の座布団がわりとして使用します。ですから、名刺入れはビジネスの必須アイテムです」
●正しい方法
・急な名刺交換の場などで、どうしても名刺入れがない場合、そのまま名刺を渡してもOK。
・『大変申し訳ございません。名刺入れを持ち合わせておりません』という言葉を添えると丁寧。
「名刺入れは、100円ショップでも入手できますし、近くの同僚に借りてもいいでしょう。ポケットや財布から名刺を取り出すのはマナー違反となりますのでご注意を。ただし、フランクな異業種交流会などでは、話すことが目的なので、渡し方を気にしないケースもあります」
3.同時に差し出した場合、片手で受け取るのは失礼では?
「『自分が先に名刺を受け取ると、相手を目下とみていることになってしまう』という実に日本人らしい考え方から、同時に名刺交換をする場合が増えています」
●正しい方法
相手が同時に名刺を差し出してきたら、自分の名刺は右手に持ち、相手の名刺は左手で受け取り、右手がフリーになったら、いただいた名刺に右手を添えて、大事に扱うようにする。これで失礼には当たらない。