■「曲げわっぱ」の魅力と賢く使うコツ
最近、よく見かけるようになった「曲げわっぱ」。すでに利用している人もいれば、これから曲げわっぱに切り替えようとしている人もいるだろう。そこで、改めて曲げわっぱの魅力を野上さんに聞いてみた。
「『曲げわっぱ』は方言で、『曲物(まげもの)』の一般的な呼称です。『曲げわっぱ』は秋田県大館市のもので、国指定の伝統的工芸品。全国各地で『曲物』は造られていて、『めんぱ』や『めんつ』などそれぞれの地域の名称で親しまれています。
この『曲物』の一番の魅力は、やはり手入れをすれば長く使えることや、何を入れても美味しく見えること、ご飯やおかずが傷みにくく、一定時間、美味しく保ってくれるというところにあります。白木のものは梅干しの赤色なども移りやすかったりしますが、それも使い込んでいるからこその味わいとして楽しめるでしょう。」
そこで、曲げわっぱの弁当箱を賢く使うためのコツを教えてもらった。
「ご飯は、ぎゅうぎゅうに詰め過ぎないように。かたまって美味しくなくなってしまいます。素材が杉やヒノキやなので通気性があり、水分をほどよく残して、自然と美味しく保ってくれます。そして、ほのかな木の香りも楽しめるのが魅力。また、視覚的な効果はとても大きく、ご飯に梅干しだけでも美味しそうに見えます。白ご飯とおかずという組み合わせにこだわらず、ぜひ丼ものやパスタなども試してみてください。パスタはくっつきにくくなります。ただし、ミートソースや油は色がつきやすいので気を付けてください。
洗い終わったら、重ねずにしっかり乾燥させるのがポイントです。
汁もれや色移りが気になる方は、ご飯だけ曲物のお弁当箱に入れて、他のおかずはステンレスやプラスチック製のお弁当箱に入れて持っていくと良いのでは?」
曲げわっぱは、弁当箱を持って移動することの多いビジネスパーソンにとって、ちょっと不向きかもしれない。しかし、野上さんの言う「ご飯だけ詰めて、おかずは別の弁当箱」なら心配がないし、曲げわっぱならではのご飯の美味しさも味わえる。ぜひ試してみよう!
野上優佳子さん
株式会社ホオバル代表。30年続けているお弁当生活の知見から、弁当スペシャリストとして活躍。弁当箱のプロデュースなど商品企画開発なども行う。近著に『野上優佳子のお弁当おかずの方程式』(ワニブックス)、『夏弁』(主婦と生活社)。
取材・文/石原亜香利
※記事内のデータ等については取材時のものです。