「五感の芸術」と評されるほど芸術性の高い和菓子。起源は弥生時代にまで遡り、南蛮文化の影響や茶の湯の発展により大きく発展した。食べるのがもったいないほどだが、やはり食べたいものである。NTTタウンページはタウンページデータベース(職業別電話帳データ)を活用して様々なマーケティング情報を提供しているが、以前、同社が運営する商品紹介サイト「TPDB.jp」で発表した「菓子店(和菓子)」をテーマにした都道府県ランキングによると、人口約10万人当たりの掲載登録件数で見た場合、1位は京都府(25.02件)、2位は石川県(21.71件)、3位は島根県(19.23件)という結果になった。
■和菓子好きが多いのは西日本?
職業分類『菓子店(和菓子)』の登録件数は、この10年で1万4674店から1万1442件と減少している。
人口約10万人当たりの掲載登録件数でみると、1位は京都府(25.02件)、2位は石川県(21.71件)、3位は島根県(19.23件)。続いて佐賀県、岐阜県、和歌山県と、10位までは西日本の府県が独占していることがわかる。有力大名が多かったことを考えると、当然、茶道をたしなむ藩主も多いことが予測されるので、納得できる結果といえるだろう。
総務省統計局の家計調査(2012~2014年平均)によると、和生菓子の消費金額トップの都市は石川県金沢市で、京都府京都市は4位、島根県松江市は12位。また、年代が上がるほど購入額も増えるという結果になった。歳とともに脂っこいものを避ける日本人の味覚とも一致している。
1位の京都府は、茶道の多くの流派の家元があるところ。また、寺社仏閣が多いのも京都の特徴で、これも和菓子と関係がある。レジャーの少なかった時代にはお参りは大きなイベントで、「〇〇へお参りに行った帰りには△△の菓子を食べる」といった楽しみを付加できるチャンスであった。昔から寺社周辺で独自の和菓子が発達したのは、そういった庶民の声に応えたものなのだろう。
2位の石川県金沢市は、加賀百万石のお膝元。藩主前田家は外様大名のなかで大きな勢力を持っていたため、徳川家の目を欺くために3代藩主前田利常が贅沢 三昧、酒びたりを演じ、藩の資金を戦力ではなく文化・芸術に投じたと言われている。当然茶道も推奨され、それに見合う菓子が必要だったため、ひときわ進化したようだ。
3位の島根県松江市では、江戸時代後期の松江藩七代藩主松平不昧が大名茶人として知られているため、和菓子店が増えたと考えられる。