『そしてダチョウの刺身、満を持して登場!』
食べた瞬間、もうまいった!
いやいやいやいやいやいやいや〜まいった!! このもつ煮、東京周辺でオレが喰ったもつ煮では一番うまい!! 少なくてもオレが一番好きな味! 全国っていうか北関東も含めてもベスト3に入りますよ!!
煮汁が脂ぎってないんで、かなり丁寧に、ムダな脂を取りながら煮てるんだろうな〜とは思っていた。ただ脂が少ないっていうのは諸刃の剣で、味の力強さが物足りなかったりすることがあるんだけど、もうしっかりと力強い! この脂に頼らず力強いっていうのが、もう白眉!
そしてモツ自体にもシッカリ味が染み込んでいる!! うわ〜惚れちゃう味ってこういうヤツのこというんだろうな〜。
もう一口食べるごとに「たまんねェぞこれ〜」なんていいつつ感動してると、今度は、タンがやってきた! いきや〜これがまた予想を裏切るルックスで、焼かれた豚タンが皿にどっちゃりと盛られてた!! 串じゃない、もう焼き盛り状態! これ、串だったら軽く6本分くらいあるわ!!
これがまたしっかりとした塩味が付いててね、豚タンの味をグッと引きして、そして昇華させている。
ちょっとちょっと大変な発見ですよ、この店! もうこの時点でT氏が我慢できず、「ダチョウの刺身もいきましょう!」とオーダー。聞けば、この店の料理担当の女将さんが山形出身で、このダチョウは山形のダチョウ牧場から直送しているという。
そして登場しましたダチョウの刺身! 一瞬見た目はハツの刺身みたい。鶏の刺身に比べると、ずいぶん赤っぽく、脂分がまったくない。そしてこれまた光ってる。
味は三連続で誉めまくるけど最高! どうにかこの味を説明すると、馬刺しから鉄分っぽい味わいを抜いて、鳥類独特の甘みを加味した味かな〜。淡白というよりも、しっかりとした強力な旨味があって、それが脂のない分、ストレートに舌で感じられる。
一口で「あ〜これって肉の味!」っていうのが、他のどんな肉よりわかるような味、といってもいいかもしれない。
いや〜ちょっと感動した、っつうかすごい感動した、この『M(仮名)』! おかげで何ひとつくだらないことが書けなかったじゃねェか!!
こういう人知れずの名店が実はいろんなところに隠れてんだよな〜。もうさ、これ読んだら、ほんと皆さんも自分の家の近所でこういう隠れた名店を探しに行った方が絶対にいいと思う。
オレはこの連載で、店の情報ではなく、そういう精神を伝えたいんだよな〜。とりあえず今回、いいたいことはいいました。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。