そして先代XVになかった、時速40km/hまでの範囲で機能するXモードのテストはまだ雪が残る小山に特設した、ぬかるみ、凸凹、ジャリ道を含む極悪路で行った。さすがスバルのAWDでXモードOFFでも登れないことはない。しかし片輪が雪、片輪が泥泥のぬかるみといった最悪の路面での発進ではXモードの威力てきめん。ステアリングを大きく切った状態での駆動力のかかり方も文句なしで、まるで本格SUVのように走破してくれる様は驚き、感動モノである。
ちなみにXモードの制御を大ざっぱに言ってしまえば、「空転したタイヤに自動的にブレーキをかけトラクションを回復させる」という意外にシンプルなものだが、その制御が緻密(ちみつ)で秀逸ということだ。
と、スバルXVにもっと似合うと思えるピュアレッドの泥だらけになったボディーを眺めていて再び驚いたのは、タイヤがオールシーズン、M&Sでもない一般的なサマータイヤだったことだ!つまり、サマータイヤのまま走っていて、突然の積雪、悪路に遭遇しても、XモードスイッチをONにするだけで、本格SUVに匹敵する絶大なる安心感、走破性が得られるわけだ(路面、天候によってスタッドレスタイヤなどの備えは必要ですが)。もっと言えば、Xモードは本格SUVのフォレスターのものより進化しているバージョンなのである。そう、ほとんどのクロスオーバーSUVにはない、新型スバルXVの実力がそこにある。
クロスオーバーSUVのカジュアル&スポーティーテイストに本格的な悪路&雪道走破性が備われば理想なのに・・・そう感じていた人は、今すぐスバルのディーラーに駆け込むべきだ。新型スバルXVをわが物にすれば、同時にアクティブトルクベクタリングなどの基本安全性能はもちろん、最高峰の先進安全性能=アイサイトver.3も手に入る(全グレードがアイサイト搭載モデル)。2Lモデルで248.4万円からの価格もまた驚きである!!
なお、新設定の210万円ちょっとから用意される1.6Lモデルの試乗リポート、および1.6Lと2Lモデルの比較、新旧型比較は別項で紹介する。
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。