「今日のうんちく」 ~エリンギ~
エリンギは、西洋を中心に地中海性気候の地域を原産地とするキノコで、エリンギウムという木が枯れたところに自生することから、エリンギという名前が付けられました。
日本では、環境的にエリンギの自生は不可能であり、市場に出回っているものは全て栽培されたものばかり。
では、エリンギの栽培方法って、どんな感じなんでしょう? ご存知の方いますか?
よく、シイタケの栽培はTVでやっているのを見かけます。切り倒された大きな丸太に、シイタケ菌を植え付けて栽培するというやつ。なんなら、自宅でシイタケが栽培できちゃうという簡易キットも売ってるぐらいですから、それなりに身近に感じますよね。
ではエリンギは? 実は、エリンギの栽培って、牛乳瓶のような瓶におが屑と菌を詰めて栽培するんです。驚きの栽培方法ですよね。育ったエリンギは、瓶の口からニョキッと顔を出してるんですから、それはそれは異様な光景なんです。(気になる方は、エリンギ 瓶 栽培 などで検索してみて下さい)
そう考えると、日本では自生しないエリンギも牛乳瓶で栽培出来るなら、意外と自宅でもシイタケのように育てられるのではないかと思って調べました。
もし簡単に出来るなら、小学生達の夏休みの自由研究なんかにも楽しめそうですよね。
では、僕が調べたエリンギの栽培方法を結果をザッと紹介したいと思います。
まずは、おが屑を瓶詰めした瓶ごと100℃近くの高温で殺菌し、そのまま無菌状態を保って冷却。そこにエリンギの種菌を植え付けし、18℃の温度を保ったまま25日管理。そこから温度を23℃に上げてさらに10~15日間さらに放置する。この間ずっと、湿度と二酸化炭素濃度の管理も必要で、そこからまた数日間の徹底した温度と湿度、二酸化濃度を管理しながら……、って、もう無理っ!(笑)
こんなの、小学生の自由研究にでもと考えた僕がバカでした。キノコって、湿気のある所で一晩ぐらい放置してたら、朝にはニョキッと生えてるものだとばかり思ってましたから。エリンギを栽培するというのはとても手間ひまがかかって、しかもかなりの時間が必要なんですね。そこまでしてやっとで出来る日本のエリンギ。適当に山奥で生えてたキノコを採ってきて~というのとはまったくワケが違いました。
エリンギとは、身近なスーパーで手に入る物を僕たちは手軽に買っていますが、実は日本の科学が産んだ、とんでもない発明品だったのです。今回は、エリンギを高級食材のアワビにしようと考えましたが、エリンギだって十分に立派な食材でした。という事でエリンギさん、アワビに比べて安物に見ちゃって、ほんとごめんなさいっ!(笑)
文/藤田晋也
※記事内のデータ等については取材時のものです。