恋愛にかまけていると、なんとなく浮き足立った気分になった経験は、誰もがあるのではないだろうか。現に、恋愛中は、冷静な判断が鈍るということが医学的にも証明されている。そのメカニズムと共に、恋愛中の脳との付き合い方を医師の見解と共に紹介しよう。
■恋愛中の脳はやっぱりダメ脳だった?!
恋に落ちると周りが見えなくなり、相手のことしか頭になくなってしまう。「恋は盲目」という言葉もある通り、冷静な目で相手を見られなくなってしまったり、他のことが手につかなくなったりする。
そんな恋愛中の脳は、どうなっているのだろうか? 山形徳州会病院の院長の笹川五十次医師は、次のように解説する。
「人類学者として知られるH・フィッシャー博士が、恋愛中のカップルの脳内を『機能的磁気共鳴画像法(fMRI)』で観察したところ、脳幹が活動しており、同時に脳内にドーパミンという快楽のホルモンが大量に放出されているのを発見しました。脳幹は脳の中でも、原初的な、いわゆる“爬虫類の脳”に相当します。一方、恋愛中は、最も高度な“霊長類の脳”『大脳新皮質』の活動が低下することも、ロンドン大学の研究でわかっています。特に、危険を察知して判断し避けようとする脳の働きや、批判的にとらえる脳の働きが抑制されることもわかりました」
■恋愛中の脳への対処法
脳がお花畑状態になっている恋愛中は、運転をしたり、何か危険が迫っていたりするときなどは、少々不安がある。そんな、“ちょっと危なっかしい”恋愛中の期間には、どのような対策を取ることができるのだろうか。
「恋愛中に放出されるドーパミンは、性的なことやギャンブル、ゲーム、買い物などに熱中しているときも、短時間に大量に放出されます。時には、自分の意志で止められなくなる依存症に陥ることもあります。
このドーパミンを効果的に減らすには、クールダウンするしか方法はないように思われます。ただし、ドーパミンが放出し続けることはないので、通常は時間が解決してくれるでしょう。適度の放出であれば、恋愛中のほうがやる気が出て、物事がうまくいくこともあります」
ドーパミンが放出されているときに、冷静な判断が鈍っていると感じたら、我に返って自分なりにクールダウンするか、時間が経つのを待つというのが一つの対策といえそうだ。