
去る4月16日、都心では平年より11日も早く気温が25度を超える真夏日を記録。今年の暑さを予感させる1日となった。ちなみに気象庁の統計によれば、日本の最高気温は2013年8月12日に高知県の江川崎で記録された41度だが、気になるのはTOP10記録のうち、2000年代が7件もランクインしていること(同順位含む)。これに対して最低気温は1902年から更新されておらず、地球温暖化の影響を考えさせられるランキングともなっている。
そんな気温の上昇とともに気になってくるのが汗とそのニオイだ。特に汗のニオイは通勤電車の車内はもちろん、エレベーターやミーティングなど、人と接近する機会の多いオフィスでも影響が出始めている。「他人の体臭が気になって仕事に集中できない、あるいはストレスを感じたことがありますか?」という問いに対して、なんと68%が「はい」と答えているのだ(※)。今やニオイ問題は深刻化の兆しを見せていると言えるだろう。
※花王調べ。
では、なぜ汗はにおうのか。その原因がわかれば、その対処法も見えてくるはずだ。そこに興味深いニュースがもたらされた。花王が独自のデオドラント技術を開発。それは〝汗かきな人〟が抱く不満を解決する技術であり、実用化に5年の歳月を要したという。
ならば、汗のニオイの発生原因はもちろん、それを踏まえた新技術に関しても興味深いトピックスが聞けるはず。毎年、汗対策に悩まされるのは@DIME編集部も同じだからだ。さっそく開発を担当した花王の?倉(はぐら)豊樹さんにお話をうかがった。
花王株式会社 ビューティケア スキンケア・ヘアケア事業ユニット
スキンケア事業グループ 商品開発
開発リーダー
?倉(はぐら)豊樹さん
気になる新技術を解説していただく前に、まず汗が臭う理由から説明していただこう。
?倉 人間の汗そのものにニオイがあるわけではありません。分泌された汗と皮脂やアカが混じり合ったところに、肌の上にいる常在菌が増殖。汗に含まれる成分を分解することでニオイが発生します。この菌自体にもニオイはありません。
ということは、菌がいなくなればニオイは発生しないことになります。
?倉 その通りです。そこで汗の中の菌に作用する殺菌剤が用いられるのですが、これは皮脂には溶けやすい半面、汗=水分には溶けにくいという性質があります。このため汗中の菌が殺菌されにくく、結果的に菌が増殖。猛暑時や一度に大量の汗をかいた際にはニオイの発生につながります。
?倉 私たちの調査によって、自分は汗っかきだと意識を持っている方は、男女ともにこの10年で増加しており、女性で68~75%、男性でも77%と大きく増えています。しかも「自分のカラダのニオイが気になる」という人が男性で48%、女性は68%もいました。