4月から「無期雇用転換」の新ルールが始まったことをご存じだろうか。2013年4月の労働契約法の改正により、2018年4月以降、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込により無期労働契約に転換することができるというものだ(以下、無期雇用転換ルール)。アイデムが昨年、事業所担当者、およびパート・アルバイト・契約社員として働く20代~40代男女679名を対象に「無期雇用転換」をテーマとした調査を実施したところ、認知度が低い結果となった。
事業所に、無期雇用転換ルールに関し、自社のパート・アルバイト・契約社員に対してどのような対応をとる予定かを聞いた。「パート・アルバイト」に対しては、「申し込みがあれば無期雇用に転換する」が最多で35.5%となった。「契約社員」も同様で、33.6%となっている。「雇い入れ時から無期雇用とする」「無期雇用へ転換するための基準を設け、それを満たした者は5年未満であっても転換していく」など、積極的に無期雇用転換をしていく企業は、雇用形態にかかわらず2割以下となっている。また、「わからない」という回答も約2割あり、方向性が定まっていない企業も一定数存在していることがわかる。
「パート・アルバイト」または「契約社員」に対し“少なからず無期転換の意向がある(「雇い入れ時から無期雇用とする」「無期雇用へ転換するための基準を設け、それを満たした者は5年未満であっても転換していく」「申し込みがあれば無期雇用に転換する」「契約更新の基準を設ける・厳格化するなどし、それを満たさない者を5年未満で雇い止めにする」の回答者、以下同)”事業所に、無期雇用転換した労働者の処遇をどのようにする予定かを聞いた。
「パート・アルバイト」を無期雇用転換した場合には、「労働時間」「賃金」「仕事内容」「福利厚生」すべてにおいて「無期雇用に転換する前と変えない」事業所が多数派となっている。特に、「賃金」と「仕事内容」についてはその傾向が強い。一方、「正社員に近づける」と回答した労働条件・待遇を見ると、「労働時間」が最も回答割合が高くなっており、短時間勤務のパート・アルバイトにとっては不利益変更となる可能性もある。
「契約社員」を無期雇用転換した場合を見ると、それぞれの労働条件・待遇について「パート・アルバイト」の場合よりも「正社員に近づける」の回答割合が高い。「福利厚生」においては、「正社員に近づける」が最多となっている。