【File no.5】領収書の「上様」は認められる?
「宛名が『上様』でも空白でも、店側の帳簿で確認できれば、お金を払った証明書としては認められます。ただ、これが税務上経費として認められるかについては、税務署の判断ということになります」
特に経費額が多く赤字で申告するような会社には、税務署は「ダメ」と判断することもあるだろう。あとで経費として認められないと困るので、会社側は「店に書いてもらえ」と言うほかない。
では、宛名なしの領収書に、自分で書き込んだ場合はどうか。
「虚偽の内容でなければ罪にはなりませんが、これも税務上の問題で、税務署にバレるとよけいな疑いをかけられることもあるでしょう。当然、数字を書き足すなど虚偽の内容を記載すると有印私文書の偽造罪に問われ、偽造した領収書で会社に請求してお金を受け取ると詐欺罪に問われます」
店側も、金額や日付が空白の領収書を渡すと、詐欺の幇助に問われかねないので注意したい。「自由に記入して」はNGだ。
【File no.6】よく文房具など会社の備品を持ち帰っています。これって犯罪?
「こんなにたくさんあるんだからちょっとくらい……」って、ダメに決まっている。
「仕事のために持ち帰った場合は別ですが、ボールペンやコピー用紙など、自分の管理下にない備品を私的に持ち出せば、窃盗罪に問われかねません。法定刑は10年以下の懲役、又は50万円以下の罰金。会社支給のPCなど自分が業務上管理している備品を売ったりすると、業務上横領罪に問われる可能性があり、法定刑は10年以下の懲役です」
窃盗罪は、備品だけでなく、〝電気〟でも適用されるという。
「刑法245条には『電気は、財物とみなす』と明確に書かれています。私物の携帯やPCを会社で充電すると、窃盗罪に問われることもありえます」
最近は、ノマド向けにコンセントを提供するカフェが増えたが、そういった職場以外で、許可なく充電するのも犯罪だ。
「コンビニでこっそり充電していた中学生が捕まり、検察に送致されたという事例もあります」
被害が数円でも窃盗は窃盗だ。