犯罪と聞いて自分とは遠い存在と思っているあなた。しかし、ビジネスパーソンの身の回りには犯罪との境界がいたるところにあるのです。「知らなかった」「この程度なら」では済まされないビジネス常識、あなたは知っていました?
【File no.1】嫌な上司の誹謗中傷をFacebookなどに書き込んだ。
会社での鬱憤晴らし、いかにもありそうなケースだが、たとえ投稿範囲を「友達」に限定していたとしても、安心してはいけないのだ。
TMI総合法律事務所の関理秀弁護士に聞いてみた(以下同)。
「例えば、Facebook上の『友達』って、本当に親しい人たちばかりか考えてみてください。『いいね!』や『シェア』で、不特定多数に広まることもある。社内での処分で終わることも多いと思いますが、名誉毀損罪に該当する可能性はあります」
刑法230条には、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と規定されている。
「注意したいのは、『事実の有無にかかわらず』という点。例えば、上司の横領やセクハラを指摘したとして、それが仮に事実でも名誉毀損は成立します」
横領やセクハラが事実なら会社に報告すべきで、SNSに書く必要はないということだ。名誉毀損に「いいね!」はない。
【File no.2】有料メルマガに仕事で役立つ情報があったので、会社のメーリングリストに転送して、情報を共有した。
有料メルマガの発行者は、その情報の対価で収益を得ている。だから、有料メルマガは書店で売られている本と同じような扱いと考える必要がある。
「著作権法では、私的利用の範囲でのコピーは認められていて、家族など身近な範囲で見せ合うくらいなら問題になることは少ないでしょう。しかし、著作権の放棄を明言している場合を除いて、著作物を複製して他人に配布したりすると、著作権法違反に問われることがあります」
著作権法では、著作物をコピーして頒布した場合、10年以下の懲役、若しくは1000万円以下の罰金又はその併料と規定されている。
無料メルマガならいいというわけではないので、誤解がないようにしたい。
では、まるごと全部配布ではなく、自分の文章の中で、一部を引用するのはどうか?
「一定の条件を満たした引用は、可能です。条件としては、引用元を明示すること、引用部分とそれ以外の部分の『主従関係』が明確であることなどがあります」
ごっそり引用して、最後に「○○氏はこう言っています」で終わりでは、適正な引用ではないのでアウトだ。