■Design
本機はDACよりも音色を左右するアナログ増幅部のオペアンプをTexasInstrumentsに特注したモデルOV2028とOV2627を採用。このiFi/AMRのOVシリーズは高音質化のためにオペアンプの足の部分にHCOFCの銅製リードフレームを採用、フレームとアンプを接続する配線材に4Nゴールド・ボンドワイヤー使っている。オペアンプは最低、数万個単位でないとオーダーできないのでこれは大変なことだ。これから同社の別の製品にもOVシリーズが使われるかもしれない。
SONYのハイレゾWalkmanの背が高くなった原因として、音質を追求した結果、選んだ電解コンデンサーが収まらなかったからというエピソードがある。それぐらい電源部に使われる電解コンデンサーは重要なのだ。『micro iDSD BL』はSANYO(現在はPanasonic)のOS-CONを採用。1000ドル以下の製品に、通常パーツの100倍の値段のOS-CONを使うのは画期的な出来事であるという。さらに抵抗も変更、電源、アナログアンプ、クロック回路の高品位化、3D Holographic+とXBass+にも手が入っている。
DACチップに関しては変更なし、従来から使い続けいているBarBrown DSD1793をデュアルで搭載する。気に入ったDACをとことん使いこなすという姿勢には好感が持てる。特に最近のDACは省エネ指向でオールインワンパッケージなので、DSD1793のように電力消費も激しいが、音質最優先のようなチップには最近お目にかかれない。主任エンジニアのトルステン・レッシュ博士のお気に入りであるAdvanced CurrentSegment方式を採用しているPCM1792と兄弟モデルであるDSD1793は、これからも使われ続けるに違いない。
底面にはオレンジ色でスイッチの機能表示がある。カッコイイのだが、サイドに何も表示がないので使いづらい。また、付属のゴム足を貼らないとデスクトップで使った場合、うっかりライン出力がダイレクトに切り替わることがあり、スピーカーから爆音が響きわたることになる。
フロントにはφ6.3mmのステレオ標準ジャックを装備。これはポータブルヘッドホンアンプでは珍しい。真ん中にあるφ3.5mmのステレオミニはイヤホン用ではなくアナログ入力用である。
リアパネルには光と同軸が接続できるハイブリッド端子とRCAアンバランスのライン出力端子があり、ダイレクトか、内蔵ボリュームを効かせるかが選択できる。その隣がUSB/Aのデジタル入力端子、変換アダプターと変換ケーブルが付属する。