SUVブームが続く中、話題が少ないミニバンだが、出荷台数を見ていると絶好調。根強い人気が続いている。そんな中、日本を代表するミニバンのベストセラーモデルの新型車が2台登場。このライバル車を比較試乗した。
ミニバンの国内市場は2015年、新車で約75万台を販売した。2016年の上半期の販売台数は約39万台で、前年比を上回っている。この根強い人気に乗るかのように、2016年に入り次々と新型車が登場。今回はその中からミニバンの元祖、トヨタ『エスティマ』(6月発売)と日産『セレナ』(8月発売)を試乗した。どちらも日本のミニバンの歴史を牽引してきたモデル。最新モデルがどこまで進化しているのかチェックした。
『エスティマ』は1990年に初代が登場。もともと北米市場を意識して開発され、3ナンバーでユニークな卵形のスタイリングが話題になった。当時、3ナンバーの大型車ということで売れゆきが心配されたが予想を覆す大ヒットとなり、ミニバンブームのきっかけを作った。
新型車は2006年に3代目としてデビューしたモデルがベースだが、スタイリングは古さを感じさせない。今回のマイナーチェンジは、スタイリングのブラッシュアップと安全装備の充実がポイントだ。
2代目から採用しているハイブリッドシステムや後輪駆動用のモーターによる4輪駆動方式は継承。サスペンションも改良されているが、操縦性は最新のミニバンと比べると重さやシャープさに物足りなさを感じた。
◎細部までミニバンの進化を感じさせる『セレナ』
一方の『セレナ』もデビューしたのは1991年だが、今回のフルモデルチェンジで5代目になる。さらに歴史を遡ると70年代初めの1BOXカーにたどり着く。改めて1BOXカーとミニバンの違いについて説明すると、1BOXカーはエンジンが前席の床下にあり、後輪駆動が主流。ミニバンはその位置にエンジンがなく前輪の後ろや後輪の前にあり、ドライビングポジションも乗用セダンに近いという特徴がある。『セレナ』は2代目からミニバン形式になり、ユーザーのニーズをうまくとらえ、このクラスのベストセラーカーになった。最新モデルは自動運転支援技術「オートパイロット」が注目されているが、内装の質感の向上やリアゲートの2WAY開閉スタイル、ハンズフリースライドドアなどのアイデア装備も見逃せない。目的に応じてミニバンを〝使い倒す〟ことができる楽しいモデルだ。