◎会社の物は「会社の持ち物」であるという意識が重要
いくつかの事例も交えて考えてきたが、では、従業員と会社、それぞれの立場から気をつけるべきことはあるのか。巽先生は以下のように述べる。
「従業員の方に気を付けていただきたいのは、当然ながら、会社にある物は『会社の持ち物である』という意識を持つことですね。業務外で利用したい場合には自分の判断ではなく、いったんは管理者へ尋ねるというのが何よりも重要です。
また、会社側も従業員の方が罪の意識なく横領へ手を染めぬよう、会社の物の管理の仕方については規定を設けておくことが必要になります。さらに、従業員による意図的な横領を防ぐためには、会社の物の管理を一人の従業員にまかせるのではなく、複数の人間に管理させておくというのも、有効な手立てではないでしょうか」
巨額な横領事件の中には、初めのうちは「これぐらいなら」と思っていたものの、やがては金額がみるみる膨れ上がっていった事例もある。ちょっとした気の迷いも禁物。くれぐれも罪に問われることのないよう、品行方正に日々の業務へ取り組みたいものである。
取材・文・写真=カネコシュウヘイ
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