iPhoneをカバンやポケットから取り出す必要なく使うためのマストアイテム
前述のとおり、AirPodsは、標準状態でダブルタップにSiriの起動が割り当てられている。Siriを起動したいと思った際には、耳に装着したAirPodsをポン、ポンと2回軽くたたけばいい。すると、おなじみのSiriの声が、耳元から聞こえてくる。この状態で、話しかけると、iPhoneを操作することができる。
たとえば、電話をかけたいときは、「○○さんに電話」と話しかければいい。これだけで電話が発信され、相手が取れば、そのままAirPodsでハンズフリー通話になる。メールの着信があったときは、「最新のメールは?」などと言えば、何通メールが来ているかや、その件名を読み上げてくれる。メールをゼロから音声だけで書き上げ、送ることまでできる。歩きスマホは社会的に問題視されるようになったが、この機能があればわざわざiPhoneの画面に目を落とす必要がない。
やや間違いはあるが、iPhoneを取り出さずに、ここまでのメールを書き上げることができた
メールの読み上げが少々機械的で、意味が分かりづらいこともあるなど、まだまだ改善点はあるものの、iPhoneをポケットから取り出さず、ある程度の操作ができてしまうところにAirPodsの利点がある。一般的なBluetoothイヤホンだとSiriが割り当てられていないため、これは大きな違いだ。
すべてのアプリがSiriに対応しているわけではないが、届いている通知を読み上げてくれる機能もあるため、まずAirPodsで必要度を判断して、それからiPhoneを取り出すといった流れで使うこともできる。もちろん、前述のとおり、音楽を再生したり、曲をスキップしたり、音量を調整したりといったことも、Siri経由で行える。
改善してほしいと感じたのは、メールの読み上げなどを使おうとすると、iPhoneのロックを解除しなければならないところだ。メール送信や電話の発信などはロックされていてもそのまま使えるため、読み上げがNGなのは残念。これだと、せっかくハンズフリーで使おうと思っても、結局はiPhoneを取り出さすことになって本末転倒だ。iPhoneをロックせずに使えば問題は解決するが、この場合だとセキュリティ上のリスクがあり、Apple Payも使えなくなる。AirPodsを装着しているときだけメールの中身を読み上げるようにするなど、もう少しユーザー側に設定をゆだねてもいいのではと感じた。
このように、ヒラアラブル製品の1つとして見たとき、AirPodsにはまだまだ改善の余地がある。同ジャンルのXperia Ear並みに、ニュースの読み上げなど、できることを増やしてほしいという印象を持ったのは事実だ。一方で、アプリなどをインストールする必要なくSiriを直接起動でき、電話やメールの発信ができるのは便利だ。また、片耳につけるXperia Earとは異なり、音楽を聞く際の音質や操作性はAirPodsに軍配が上がる。AirPodsはまだ発売したばかりで、ソフトウェアの改善次第でも使い勝手を上げることができるため、今後の展開に期待したい。
レビュー結果
【石野’s ジャッジメント】
操作性 ★★★★
レスポンス ★★★★★
バッテリーもち ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
質感 ★★★★
音質 ★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
■連載/石野純也のガチレビュー