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アドラー心理学に学ぶ仕事との向き合い方

2018.02.26

【テーマ2】部下や後輩の育て方

《相手をほめてはいけない、叱ってもいけない》

叱ってはいけない
アドラーは「叱る」ことも「怒る」ことも、決してやってはいけないこととして否定する。「部下が失敗した時は、叱らずに、そのことだけを注意すれば事足ります」(岸見さん)

◎ほめるという行為は相手を見下している

 上司や先輩との人間関係のあり方は、そのまま、部下や後輩との人間関係にも重なってくる。後輩とのつきあい方、育て方もまた、職場では悩みの種だ。

「対人関係はヨコ関係なので、怒ってはいけない、と言いましたよね? こう言うと、『怒ってるんじゃない、叱ってるんだ』と反論する方がいますが、この2つに違いはありません。もし、あなたが部下を叱り続けているとしたら、きっとその部下は、叱られないために、自分に与えられた必要最低限のことしかしなくなるでしょう。『指示待ち族』の誕生です」

 岸見さんは、部下が失敗した際は、次の3つの対応を取るべきだという。

(1)可能な限りの原状回復。

(2)関係者への謝罪。

(3)同じ失敗をしないよう話し合う。

 叱っても、何も解決しないのだ。

 では、部下はほめればいい?

「そうではありません。アドラーはほめることも否定します。なぜなら、ほめることは、〝上から目線〟で相手を見下し、評価しているということだからです」

 岸見さんは「ほめる」ことで、相手をダメにしてしまう恐れがあると説く。

「アドラー心理学では、承認欲求を否定します。なぜなら、承認欲求にとらわれた――つまりほめられたい人間は、他人から認められたいと願うあまり、いつの間にか、自分の人生を見失ってしまうからです。『ほめられたい=承認されたい』という欲求は尽きることがありません」

 会社には、上司の鵜(もしくはポチ)のような人間がたくさんいる。彼らは、自分の承認欲求を上司に利用され、コントロール下に置かれているのだ。

 ほめてもダメ、叱ってもダメ。ならば、どう部下に接すればいいのか。

 岸見さんは、「部下を尊敬すること」だと言う。

「冷静に部下を観察してください。きっと、『自分より秀でた分野』を持っているはずです。その部分を認め、何なら教えを請うてもいいのでは?」

上司が部下をコントロール
上司が部下をコントロールする場合、相手の「ほめられたい」という承認欲求を利用していることが多い。

◆アドラー心理学的3つの教訓

一、  叱り続けた部下は「指示待ち族」になる
一、  承認欲求にとらわれると利用される危険性
一、  部下や後輩の尊敬できる部分も見つける

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