■メルボルンに詳しい人にその住みやすさを聞いてみた
Royal Exhibition Building –photo by melburnian
そんなメルボルンの住みやすさを知るには、現地に詳しい人に聞くのが一番だ。そこで、MBA留学支援を行うMBA Loungeの代表・川尻秀道さんに、多くの留学生をメルボルンへ送り出している経験と、現地に住む人たちへのヒアリング内容をもとに、メルボルンがなぜ住みやすいのかを6つの理由を挙げてもらった。
●街がコンパクトで分かりやすい
「メルボルンは、大きすぎず、小さすぎず、都会好きにも田舎好きにも楽しめる都市です。シドニーは高層ビルが立ち並び、オーストラリア一の都会。クイーンズランド州のブリスベンは、こじんまりしすぎて“ゴールドコーストへの通り道”といわれることも。メルボルンはその中間にあって、コンパクトで、街のつくりも分かりやすいと言われています」(川尻さん)
●インフラが整っている
「メルボルンの人が口を揃えて言うこと。それは『とても便利なトラム(路面電車)』があることです。観光客向けと思いきや、在住者にもとても便利な交通網。もちろん、電車やバスも整備されています」(川尻さん)
●子供にとって良い環境が整っている
「公園がとても多く、子供を育てるには大変良い環境が整っています。移民も多いメルボルン。家族で移住してくる人たちは、子供を育てるためにいい環境を求めるのはごく自然なことです。そんな環境が整っているメルボルンが選択されるのは、ごく自然な成り行きかもしれません」(川尻さん)
●スポーツ、芸術を楽しめる
「F1、全豪オープン、ロードレース世界選手権、スーパーバイク世界選手権などの世界的なスポーツイベントも開催され、スポーツ好きにはたまりません。また、メルボルンフィルムフェスティバル、コメディフェスティバルなど、芸術イベントも多く、芸術系の方も楽しめる都市です。メルボルン滞在経験者のSさん曰く、『グラフィティーアート(壁面などに描かれるアート)が無造作に描かれていて、それが街並みとカフェに馴染んでいる。アート作品が綺麗な街並みに深みを加えているようだ』とのこと。街全体がアートなのです」(川尻さん)
●古い建物からモダンな建物まで飽きない街並みがある
「イタリアンレストラン街のLygon Street(ライゴンストリート)、雰囲気溢れるビクトリア国立美術館、Royal Exhibition Building(王立展示館)からFederation Square(フェデレーション スクエア)まで、歩くだけで古い建物とモダンな建物が融合した街並みが楽しめます。また、メルボルンの由緒あるCollins Street(コリンズ・ストリート)も魅力的な通り。何度歩いても絵になり、飽きません」(川尻さん)
●フェアネス(Fiarness)の文化
「メルボルンの人たちは、弱い者に優しい“フェア精神”溢れる方が多いのが特徴です。メルボルンの大学に留学していたMさんによる、こんなエピソードがあります。
Mさんは、ある雨の降る寒い朝に、自宅最寄りのバス停で30分近く待たされたので、バスに乗車した際に、運転手に文句を言いました。すると『抗議の内容は正当だし気持ちも分かるが、言い方が失礼で良くない。』と逆に叱られたのです。そして最後に運転手さんが言った ”Be nice!(優しくして・友好的に振る舞って)” という言葉に、なぜか胸を突かれました。そこでMさんが気づいたのは、無意識のうちに『客の自分は運転手さんより立場が上』と考えていたということ。降りるとき、他の乗客が全員降りるのをやり過ごしてから、運転手さんに謝ったところ、ニッコリ笑って『ここでは、みんなが平等なんだよ』と言われたそうです。
多くの移民が共同しているメルボルン。性別や人種は関係ないのはもちろんのこと、お店の店員、運転手、お客さんなどはみんな平等だという精神の下、一緒に生活しているのです」(川尻さん)
ほどよく都会でインフラも整っている利便性だけでなく、街並みの美しさ、そしてあたたかい地元住人の人柄と、確かに「住みやすい」街であることは間違いなさそうだ。気になった方は、一度行ってみては?
川尻秀道さん
MBA取得を目指す社会人の夢を叶える専門家。2007年8月よりMBA国際認証トリプルクラウン校であるクイーンズランド工科大学(オーストラリア)のQUT Business SchoolへMBA留学。現在は、かつての自分のようにリスクを覚悟でMBA留学に挑戦する社会人や学生の支援を行なう。
取材・文/石原亜香利
※記事内のデータ等については取材時のものです。