【AJの読み】ドジでノロマな亀以下だった「おもてなし力」が露呈
今回の体験では「○」が1個であとは「△」の判定だったが、池田さんはおそらく「×」を出したいけれど、寛恕の心で「△」にしてくれたのだと思っている。評価のコメントの際もやる気を削がないためか、まず良かったところを挙げて、次いで直すべき点を指摘してくれた。
それにしても普段からがさつだとは自覚していたが、キャビンアテンダントの所作やマナーを学んで、改めて自分が松本 千秋を上回る「ドジでノロマな亀」だということが露呈した。生まれ変わってもキャビンアテンダントにはなってはいけないと肝に銘じる。
私のようなタイプは論外だと思うが、キャビンアテンダントに向いているのはどんなタイプかと池田さんに訊ねたところ、タイプではなくこの仕事に就きたいという気持ちがどれだけ大きいかに左右されるという答えが。「課題が無い人はいないので、その課題を乗り越えられる努力ができればいいのです」。
個人的に国際線は海外のキャリアを使うことが多いが、文化や考え方、社風の違いからか、サービスに期待してはいけないと感じることもままある。JALに乗ると感じる心地よさは、客室乗務員一人一人の努力の賜物だということが今回の体験で実感できた。
最後に池田さんに「機内で酔っぱらう乗客や、大声で文句を言う乗客に、内心イラッとすることはありませんか?」と意地悪な質問をしてみた。
「お酒が進むお客様は他のお客様のご迷惑にもつながるため、ペースが早い、声が大きくなってきたなどお客様の情報を乗務員が共有して、お酒を出すペースをゆっくりにするなど、機内秩序にも気を配って対応しています。
厳しいことをおっしゃるお客様は、それだけ我々のサービスに高いものを期待していらっしゃいますので、その期待に応えることができた時には、自分自身の成長にも繋がり、やりがいも感じられます。その場で至らぬ点をご指摘いただければ、我々ももっとお客様の気持ちにそえるよう何かできないか考える猶予をいただけますから。一人のお客様がおっしゃることは、もしかしたら10人以上の方が感じていることかもしれません。ご意見を言っていただけるのはありがたいことだと思います。もちろん言われたときは、少し落ち込んでしまうこともありますが。
しかし、お客様の優しさを日々感じることも多く、食事の後に『ごちそうさま。おいしかったよ』とおっしゃっていただく方は、味だけではなく、私たちを気遣って下さっているのではないかと思います。
フライトをする客室乗務員のメンバーはその日によって異なります。いまだに初めて一緒になる乗務員も多くいます。ましてやお客様とは一期一会なので、毎日新鮮な気持ちで仕事ができます。いろいろな客室乗務員と乗務することで自分と違うサービスに触れ勉強にもなります」
池田さんは普段は教官として指導業務を担当しているが、半年に一度は実際の乗務も行っている。もし機内で池田さんにお会いする幸運に恵まれたら、空の旅を心ゆくまで堪能できることだろう。
文/阿部 純子
■連載/阿部純子のトレンド探検隊