◆国際線移行訓練のひとつ「モックアップ訓練」を体験
今回の体験会では、国際線ビジネスクラスのモックアップ訓練に挑戦。担当していただいたインストラクターは、チーフキャビンアテンダントの池田 華子さん。乗務歴18年、教官歴は1年9か月で、新人訓練、国際線移行訓練、国際線ファーストクラス訓練などを担当している。
記者が客室乗務員の4つの業務を体験して「おもてなし力」を池田さんがジャッジ、最後にお手本を見せてもらうという流れで行った。
シーン1・ジャケットのお預かり
乗客が搭乗して身の回りの準備が済んだ後に上着を預かるシーン。上着を脱いでいるのが見えたら、こちらから「お召し物をお預かりしましょうか」と声掛けをしてから預かる。判定はややおまけの〇。
「良かった点はお声掛けと上着を両手で扱ったところ。コートルームで預かるので、ポケットに貴重品や、食事後に飲むお薬など機内で使うものがあるかどうか、お預かりのときに必ず確認します。お召し物はお客様の体の一部だと思ってきちんと両手で優しく扱ってください」
シーン2・飲み物の提供&注ぎ方の作法
飲み物のサービスはワインで行った。最初はグラスだけを客席に運ぶ。機内は通路が狭いのでトレイは縦方向に持って運ぶようにする。トレイの手前3分の1あたりの位置で持ち、リネンを指の間に挟む。グラスはマークがついている方向を乗客に向けて置く。
次にワインを運んで注ぐまで。運ぶときは手の温度がワインに伝わらないように手とボトルの間にリネン挟む。客席ではエチケット(ワインのラベル)のある方を乗客に向けて、「ご注文いただいたピノワールでございます」とワインの種類を伝える。訓練なのでボトルの中身は水だが、グラスのマークにあたらないぐらいまでの量を注ぐ。判定は△。
「ワイングラスをテーブルに置くときにポンと置いたので、もう少し丁寧に静かに置いてください。戻るときにトレイが座席にぶつかりそうになっていました。機内は狭いので、トレイは空になったら常に体の横に沿わせる形で運びます。注ぐ前は必ずエチケットを見せて注文されたワインかどうか確認しましょう。ワインを注ぐ際は、両手だとお酌のように見えてしまうので、必ず片手で行ってください。ゆっくりさらさらと注ぎます。
機内の揺れがある時はワインを注ぐときに気を遣います。揺れが大きい場合は一時サービスを中断することもあります。ファーストクラスはシャンパングラスを使うのでそこで揺れていると苦労します。揺れが強いときはグラスを手に持って手元で注ぐこともあります」
シーン3・料理の提供に関する作法
ビジネスクラスの洋食の提供を体験。オードブルが終わって、オードブルの皿を下げてメインディッシュを出すところのシーンを実演。皿を下げるときも必ずリネンを持っていく。下げるときに「オードブルをお下げいたします」、「この後すぐにメインディッシュをお持ちします」といった声掛けをする。メインディッシュは「和牛のサーロインステーキ」の設定で行った。判定は(おそらく限りなく×に近い)△。
「トレイはお皿を載せるときに起こします。お皿を下げるときはグラスの上を通過すると、飲み物の中に食材がこぼれてしまったり、斜めになった時にグラスにぶつかる可能性もあるので、机上にある皿や飲み物の上を通らないように下げます。話しながらの動作もしないようにしています。
メインディッシュを置くときは、手離れはゆっくりと、『お客様のお口に合うといいな、おいしいと思っていただけるといいな』と気持ちを込めて一瞬の余韻をおきましょう。ぽんと置くとそっけない感じになってしまいますし、ギャレーで盛り付けしたものが、置き方が悪いと崩れてしまう可能性もあるので丁寧に行うように心がけます」