■連載/阿部純子のトレンド探検隊
◆機内を忠実に再現した空間でトレーニングを重ねる
女性のあこがれの職業のひとつである旅客機の客室乗務員。華やかなイメージがあるが笑顔の裏には、安全の確保や一人一人が満足できるサービスの提供のため、日々の訓練を積み重ねている。客室乗務員が実践している訓練を特別に体験できる機会に恵まれ、羽田空港に隣接しているJAL(日本航空)の「JALテクニカルセンター」を訪れた。
JALの客室乗務員は入社後に行われる新人訓練を経て、国内線を約1年間担当した後、国際線業務に移行する。移行に先立ちトレーニングを行うのが国際線移行訓練で、その訓練のメインとなるのが、実際の座席を模した空間で行う「モックアップ訓練」だ。モックアップとは実物大模型の意味で、トレーニングエリアには機内の装備が忠実に再現されている。
新人訓練や国際線移行訓練を行うトレーニングエリアは、エコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスのキャビン(客室)、ギャレー(調理場)といった実際の機内を想定して訓練を行うため、広がる光景はまさに機内そのもの。国際線移行訓練は約1か月間行われ、国際線のエコノミークラスとビジネスクラスの訓練を受ける。
ビジネスクラスの訓練では長距離線の食事サービスを6回行うが、乗務員役、乗客役、ギャレーを担当する役を交代で行う。1クラス24名で、インストラクターはギャレー1名、キャビン2名の3名が担当。訓練生は国内線経験者だが、紙コップで提供する国内線とは異なりグラスや皿を扱うため、訓練当初はかなり戸惑うという。
とはいえ、現役の客室乗務員なので、傍から見るとそつなくこなしているように思えるが、インストラクターからさまざまな指摘がされている。熱心にメモを取る様子も見られ、笑顔を絶やさないながらも眼差しは真剣そのものだ。