■顆粒化で粒子径を従来より拡大
以上のような不満を解消し、使用実態に合ったものとして開発されることになったのが、『日清 クッキングフラワー』である。「不満を全部払拭し、小麦粉のあるべき姿を示すことを目指しました」と水田氏。不満の出ない使い勝手を実現するべく、中身、容器、容量の詳細を詰めていった。
まず中身については、既存の小麦粉よりサラサラさせることにした。それまでの小麦粉は、粒子の大きさがバラバラであったため、粒と粒の間にできる隙間に小さい粒が入り込んでしまい、容器に詰めてふり出すとしたら詰まってしまう。そこで粒を大きくしてサイズを整え、サラサラと出せるようにした。サラサラさせることで水に溶けやすくなり、ダマになりにくくした。
従来の小麦粉と『日清 クッキングフラワー』を容器に入れてふり出したときの違い
『日清 フラワー』(左)と『日清 クッキングフラワー』(右)の見た目の違い。見た目からして『日清 クッキングフラワー』の方が、粒子径が大きい。手に取って触ると、ザラザラ感がするほどだ
水溶きした『日清 フラワー』(左)と『日清 クッキングフラワー』(右)。『日清 フラワー』は溶け残りがありダマができているのに対し、『日清 クッキングフラワー』は溶け残りがなくダマができなかった
このために実行したのが顆粒化。製粉後に、小麦粉の粒子を大きくする工程を加えた。粒子径は、同社の薄力粉『日清 フラワー』の3倍ほど大きいという。
顆粒化は肉にまぶすタイプの『日清 から揚げ粉』の開発に活かされているが、小麦粉での活用は初めてであった。「粒の大きさを色々試し、現在の大きさにたどり着きました」と話すのは、開発担当の榊原通宏氏(加工食品事業部第一部開発グループ)。容器との相性もあり、小麦粉の試作は100種類以上にも及んだ。「大きくすると水に溶け切らなくなるので、大きければいいというわけではありません」と榊原氏。容器も開発中であったことから、最適な粒子径の見極めは困難を極めた。
日清フーズ
加工食品事業部第一部
営業グループ
主査
水田成保氏(左)
加工食品事業部第一部
開発グループ
グループリーダー
榊原通宏氏(右)