とどまるところを知らないSUV人気。攻勢をかけるメルセデス・ベンツと、SUVの歴史を作ってきたランドローバーの売れ筋2台を比較試乗した。
1BOXカーやミニバンに代わってファミリーカーとして注目を集めているのが、SUV(全天候型スポーツビークル)だ。中でも全長4.5m前後のミドルクラスが人気だ。
もともと乗用ワゴンをベースに最低地上高を上げてオフロードの走破性を高めるというクルマ造りは、スバルが先鞭をつけ、それを一部の欧州車や国産車が追従し市場が形成された。
その後、この人気が欧州市場で高まったことで、欧州の各メーカーがこぞって参入。今では日本車をしのぐ勢いで、次々と新型車を発表している。SUVの特徴は、最低地上高の高さによる走破性と、ワゴンの持つ高いユーティリティーにある。さらに最近ではパワーユニットの選択肢の多さもユーザーの関心事になっているようだ。
メーカー別に見ると、特にメルセデス・ベンツの勢いがすごい。同社は次々に新型車を発表。『Aクラス』をベースにした『GLA』から『Cクラス』ベースの『GLC』、『Eクラス』ベースの『GLE』、最上級モデルの『GLS』までラインアップが充実。またSUVとクーペを融合させた『GLEクーペ』も投入。ライバルのBMWやアウディを一歩リードしている。
今回試乗したのは『GLC250』の4MATICスポーツ本革仕様。シリーズの中で最も高級なモデル。一方『レンジローバーイヴォーク』は、2011年発売だが、前身は08年の「デトロイトモーターショー」に出展されたコンセプトカー。当時はコンセプトカーそのままの姿で発売されたことで話題を集めた。発売後、エンジン、変速機などを細かくアップデートさせながら、今でも販売台数を伸ばしている人気車だ。両車ともにパワーユニットはガソリンの2Lターボで、9速ATを搭載。駆動はもちろんフルタイム4WDだ。
試乗したが『GLC』はかなりの出来栄えと言っていいだろう。前述のとおり『Cクラス』がベースだが、セッティングは全くの別もの。着座位置の高さに視界のよさも加わり、ハンドリングもシャープ。オフロードではラリーカーのように、オンロードでもワクワクする走りが楽しめる。一方、『イヴォーク』はライトウエートスポーツのフィーリングが持ち味。こちらもきびきびとした走りが満喫できる。