続いてスーツやコートに衣類スチーマーを使ってみよう。と、そこに水野さんが洋服ブラシを持ってきた。
水野 1日でもスーツやコートを着ていると、必ず表面に砂ボコリや細かいゴミが付着します。これらが繊維の間に詰まってしまうと、光沢感が失われたり、そのまま汚れとなってしまうので、それを避けるためにも、帰宅したならまずブラッシングしてください。これが衣類のコンディションを整え、長く着られるポイントにもなります。
では、ブラッシングのやり方にコツはあるのだろうか。
水野 最初は下から上にかけてホコリを取ります。そして上から下にかけて、毛流れを元に戻します。そして翌朝、袖を通す前に衣類スチーマーを使ってください。
ブラッシングを終えたところで、いよいよ衣類スチーマーの出番だ。
水野 スーツの場合、まず背中や袖などシワが気になる箇所に使用します。そしてワキや衿など、汗が付着してニオイの元になりそうな部分も行なってください。これはコートでも同じですね。コートでは裾がシワになりやすいので、ていねいに行なってください。
そして水野さんが指摘したのが「立体感」の重要性だ。
水野 スーツやコートを着続けていると、どうしても立体感が失われ、〝くたびれた〟印象になってしまいます。そこで衿などを少し持ち上げるようにしてスチームをあててあげると、きれいな形に整えることができます。
ただし、これはシワ取りも含めてですが、スーツやコートなどウール系の素材では。かならず底面を生地から1cm程度離す、同じ場所にあて続けない、といった注意が必要。事前に使用する衣類の素材をチェックしておくことをおすすめします。
続いてパンツはウエストを下にした状態でパンツハンガーにセット。
水野 こちらのほうが重心が下にくるので、生地を伸ばしやすい。たいていのシワはこれで対応できると思いますが、ヒザ裏にできた深いシワには、衣類スチーマーをアイロンとして使ってプレスする方法もあります。ただし、アイロン使用時にも素材によってはあて布を使う、といった注意が必要です。
衣類スチーマーのアイロン面はフラットなうえ、滑り性の高いセラミックコートを使用。しかも、アイロン使用時には、5つのスチーム穴から伸びる溝に沿ってスチームが広く行き渡る設計となっている。まさにスチーマーとアイロンの2Way仕様となっているのだ。
水野 シワ取りだけでなく、ニオイや除菌、アレルケアまでできる衣類スチーマーはスタイリストから見ても、洋服をメンテナンスするうえでの心強い味方だと思います。
撮影/久保田育男(owl)