オンライン総合旅行会社エクスペディアの日本語サイト、エクスペディア・ジャパンが、2015年上半期のインバウンド状況について調査を行なったところ、世界から日本への旅行客は190%と約2倍増加していたという。さらににアジアだけに絞ると、日本へ旅行客は246%と約2.5倍増加。その理由としては円安により日本への旅行が金銭的に行きやすくなり、さらにLCCの増便で各都市へのアクセスがよくなったことなどが考えられる。この動きあわせて、各都市で様々なインバウンド施策を打ち出し、地方の認知も上がってきている。
■いま注目は大阪!アジア人には東京より大阪の方が人気
中でも今年の注目は大阪。アジアの主要訪日国に絞って、海外旅行先として人気の都市ランキングをみたところ、韓国では大阪が1位という結果になっている。さらに、台湾、香港においては、大阪の方が東京より人気が上回る結果となった。上記3国における、東京に対する大阪への訪日比率は、韓国+76%、香港+6%、台湾+4%となっているという。また前年からの訪日外国人数の伸びを比較しても、大阪の方が東京より高い結果となっている。
■日本人気を支えるのはアジア
日本へのインバウンド伸び率を調べてみたところ、上位7国がアジアという結果になった。特に1位の香港は4倍近い伸びを見せている。さらにアジアの中でも旅行者の規模が多い国における「人気の旅行先(国)」を調べてみたところ、韓国、台湾、香港、タイにおいては全て日本が1位という結果に。日本の人気の高さがわかる。
■欧米人は東京・京都、アジア人は大阪を選ぶ傾向にあり。そのワケは?
東京と大阪で、エクスペディア経由の外国人旅行客の比率を比べてみると、東京にはアメリカ人が30%と一番大きな割合を占めているのに対し、大阪では12%という結果になった。また、東京では韓国・香港の人達の割合が合わせて20%に対して、大阪では46%と約半数を占めている。東京と大阪で集客層が大きく違うことがわかる。
一方で、東京と京都とを比較すると、傾向が非常に似ている。同じ関西でも、アジアが多い大阪に対し、京都には欧米の人達が多く集まっている。これらの結果は、欧米の人達とアジアの人達とで、日本への旅行目的が違うからといえる。
上記の日本観光協会の「訪日旅行前の期待」に関する調査でアメリカ人は「歴史的・伝統的な景観、旧跡」や「日本人の生活・日本人との交流」を挙げているのに対し、香港人や韓国人は「ショッピング」メインに訪れていることがわかる。「伝統」を好むアメリカをはじめとした欧米の人達は、関東近辺でも、箱根や日光といった場所を好む。
そして東京に来る際には、合わせて新幹線で京都に訪れることが多い。その際、目的は京都なので、大阪に寄ることは殆どない。一方でアジアの人達は、1つの旅行で1都市に寄る。「ショッピング」をメインとしているため、大阪に訪問した際には大阪観光が中心になる。これらの理由から、大阪においてアジア比率が高くなり、また、東京と京都とが似た傾向になる。