『自分の家をパワースポットに変える最強のルール46』(小学館刊)は、家はパワースポットであるべきという前提の下、家づくりや家選びをスピリチュアルな視点から考察して充実した人生を送れるようにアドバイスした一冊である。著者はスピリチュアリストの江原啓之氏。住人が家をつくるばかりでなく、家も住人の人生にさまざまな影響を与えると説く。
スピリチュアルの視点のみならず、現実的な問題の対処法も盛り込んだ。自分の家を持つために懸命に働き、家や不動産業者に関する知識を増やし、住宅ローンの仕組みや法律について学び、数えきれない物件を見学してプロに負けない見極めができるようになった著者の経験をフルに活用している。
注意すべきは、本書は不動産や建築の専門書ではなく、家づくりをスピリチュアリズムに鑑みて説いた人生指南書であること。良い結果を得るには、自ら勉強して必要な知識を獲得するという努力が不可欠だ、と強調する。
■家選びに失敗しない3つの心得
まず第1章で紹介されているのが、引っ越したいと思ったときに心得ておきたいルール。そのうちの1つ、「ルール4 家選びに失敗しない3つの心得」では、「人任せにしない」「人に依存しない」「必要経費をケチらない」を挙げている。著者はここで、エナジーバランスを意識することを説く。これはどういうことか?
「振り子に例えれば、良いことがあれば振り子は正へと大きく振れます。けれど、同じだけ負のほうにも振れてします。このように人生には振り子の法則が働いているのです。(中略)家選びで言えば、物件について学び、徹底的に調査するという努力が負。その努力を惜しまなければ、入居後には快適な暮らしが待っているということです」(第1章25ページより)
著者が住宅取得には努力が不可欠だと主張している点と、この3つの心得は符合する。「人任せにしない」「人に依存しない」は、不動産業者の言われるままに決めたり、物件探しを不動産業者に任せっきりにするようなことはしないということ。「必要経費をケチらない」ということは、安さに目がくらむことなく建築士に欠陥住宅かどうかの調査を依頼する、といったこと。家選びのためには手間ひまを惜しまず、能動的に動けるかが問われていることになる。
しかし、「人任せにしない」「人に依存しない」というのは自律した大人に成長するための心得、「必要経費をケチらない」というのは人間関係を円滑にするための心得にもなるのではないだろうか? こう考えれば、家はやはり人生に影響を与えるものであり、第一歩となる家選びで横着することなど、もってのほかということになる。