■商品として魅力的か? ★★★★★
前述した通り、『トゥインゴ』はヨーロッパで最もコンパクトなカテゴリーに属している。コンパクトということは、その分、開発コストも限られるし、高い販売価格もつけられない。日本の軽自動車のように、あれもこれもとてんこ盛りにはできない。開発者は、“何を重視して、何を切り捨てるか”という強い割り切りを以て臨まなければならない。そこで問われるのが、大袈裟でなく開発者の思想であり哲学だ。
つまり、現代のユーザーがクルマに求めるものは何で、それに応えるためにクルマは何を備えていなければならないかという命題について確固たる信念を持っているかが問われているのである。例を挙げてみれば『トゥインゴ』はカーナビを備えていない。現代のドライバー(特に若年層)にとってクルマで最重要視するのはナビゲーション機能だが、彼ら彼女らがクルマに組み込まれているカーナビ専用機ではなく、インターネット経由で最新の地図データを駆使できる自分のスマートフォンやタブレット端末を使っていることを『トゥインゴ』の開発者は良く知っているのだ。
だから、『トゥインゴ』に最初からカーナビは付いていない。日本車に良くある、カーナビを後付けする穴も開いていない。ダッシュボードには、スマートフォンやタブレット端末をマウントするためのアダプターが付いているだけだ。その代り、ラジオは標準装着されていて、AMとFMに加えて、Bluetoothモードが備わっている。これも“分かっている”のである。自分のスマートフォンやタブレット端末にインストールしてある音楽をすぐに聴くことができる。USB端子もすぐそばにあって便利。