『今明かされる謎の景品の正体とは!?』
「なんなんだよ、景品…」
オレがポツリと独り言をいうと、隣のテーブルにいた12枚ほどのビンゴカードを並べている先輩が教えてくれた。
「ここの入浴券だよ!」
景品はサウナ『Y』の入浴券であった。それにしても、そのことを教えてくれた隣の先輩も独特のプロビンゴラーぶりを発揮している。テーブルに並べたビンゴカードを、空いてる数字が多い順に常に場所を入れ換えているのだ。ビンゴになりそうなカードは手前、まだまだビンゴには程遠いカードは奥。プロビンゴラーおそるべし!!
「はいビンゴが出ました〜」
ついにビンゴが出る。ちなみにこの時点でオレの立った1枚のカードは、まだ3つくらい穴が開いただけである。しかし、一人のビンゴが出るとあとは五月雨式にどんどんビンゴが登場してくる。
まぁ、オレなんてのは1枚しか買ってないんで当たらなくても当然なんだが、焦りだしているのは横の12枚プロビンゴラー先輩である。数字が1つコールされるたびに思わず口から発せられる「チッ!!」という舌打ちが、徐々に大きくなってきている。逆に当たりがきた時には「よっしゃよっしゃ」と田中角栄のように独りごちる。
「そろそろ景品はあと一枚です」
すでに30人くらいは入浴券をゲットしていたようだが、司会者のその声に、横の先輩を見ると「キ〜!」といわんばかり。ちょっと離れたトコロに座っているデイトレーダーの女先輩は席を立っている。どうやらビンゴが成立したようだ。
「景品はなくなりましたが、まだビンゴはあと一回続けますよ。ここでビンゴの方には無料ドリンク券を差し上げます」
そんな司会のラストチャンスにおもわず目を血走らせる先輩! だがその最後のチャンスすら隣の先輩はものにできなかった!
「以上でビンゴ大会は終了です」
その時、隣の先輩は!?