『目を疑うビンゴカードの海!!』
ついさっき5枚買ってるオヤジを見て驚いていたが、5枚なんてのは最低購入枚数といってもいい!
どう見ても平均購入枚数は8オーバー! 10枚、15枚を購入している猛者のジジイ、ババアがわんさといやがる!! 中国人観光客の爆買いという話しはよく聞くが、ここにもうヒトツの爆買いがあった!!
そしてふと自分の持ってるビンゴカードを確認する。
「一枚…」
ハッキリいってそんな枚数で参加しているヤツはオレくらいしかいやしなかった!
「ちょっとちょっと。あの人、ビンゴカード1枚よ」
「あらま!! よっぽと貧しい家の人なのね」
「お恥ずかしい限りね〜」
そんなオレへの中傷の会話が聞こえてきそうですらある。
しかし1枚でも当たる可能性はある!! 中傷及び哄笑の対象になることも覚悟し、会場の片隅に陣取ると間もなく、司会者が現れ、ビンゴ大会ははじまった。
「それではビンゴ大会をですね、はじめたいと思います。まず最初の番号は……」
なんのルール説明もなく、さらには景品の紹介すらなく、いきなりビンゴ大会ははじまった。それに対して一言すらも文句をいわない中高年参加者! どうやらルールも景品もすでに周知の事実なのだ。
よく見ると参加者の中には、ただビンゴカードをテーブルに置いているだけではなく、テーブル上の正油差しやら、七味入れといった調味料、自分が頼んで飲み物などを並べ、それをつっかえ棒のようにして、ビンゴカードを立てて並べているプロビンゴラーとよんでもいい老婆すらいる!!
もうそのマニアックなまでのセッティングぶりは、何台ものパソコンモニターをデスク上に並べているデイトレーダー、もしくはNASA職員がスペースシャトルを監視している姿といった風情すらある!
「あ、リーチですね」
ビンゴ大会は淡々と進んでいる。それにしても、ここまで中高年を燃えさせる景品はなんなんだ?