■連載/カーツさとうの最強サウナ熱伝
前にも一度書いたことがある、関東一冷たい水風呂のある、横浜・鶴見のサウナ『Y(仮名』。
先日、真っ昼間に行った時のこと。受付でこういわれた。
「ビンゴカード……買いますか?」
このサウナが週に2回ほどビンゴ大会をやってることは知っていたが、大会当日に来館したのは初めてだった。聞けばビンゴカードの値段は百円。ものは試しに参加してみようと1枚購入してみた。
この時点でビンゴ大会がはじまる午後2時までは30分しかなかったので、軽く1セットサウナを決めて、大会会場となる大広間に向かった。
この『Y』は、そのド冷たい水風呂でサウナーにも人気があるが、昔ながらのヘルスセンター的雰囲気から、近隣の中高年の憩いの場にもなっていて、大広間は食堂としての機能はもちろん、常時カラオケを唄える、いわば高齢化社会対応型エンターテーメントホール!!
真っ昼間から飯を喰い、酒を飲みつつ、いろんな意味で味わい深い中高年のカラオケを鑑賞できるナイススペースであった。
そんな大広間に向かって歩いていく途中、一人の高年男性が階段に座り込んでなにやら真剣に床を眺めている。コンタクトでも落したのか? と思ってよくよく見ると、階段にビンゴカード5枚ほどを並べ、それを熱心に凝視しつつ、ブツブツ呟いている。どうやらビンゴの戦略でも練っているようであった。
いやいや、ビンゴはそんな戦略を練ろうが練るまいが、単なる運なんだからなんの関係もないよ!! と思うと当時に“5枚も買ってんのかよ〜!!”ということに驚いた。スゲ〜なこのオヤジと感嘆しつつ大広間に入ったオレは、そんな感嘆がただの金魚の糞程度の事実でしかないことを知るのだった。
百畳は優にある大広間をビッシリと埋めつくす二百人はいるであろう中高年男女! 53才のこのオレですら一番の若造になっている、高齢化社会日本を象徴するようなその光景。
さらに!! その誰もが、なにかを今や遅しと待ち構えている熱気! すわ『綾小路きみまろ 笑撃ライブ』でも今からはじまるのか!? と思わざるをえない。
そして、そんな熱気すら凌駕する一種異様といってもいい状況が、中高年男女の陣取るテーブル上で繰り広げられていた。
全てのテーブルの上を埋めつくさんばかりのビンゴカード!! なんと、ビンゴ大会参加者の誰もが大量のビンゴカードを購入し、自分のテーブルの上に、まるでトランプの七並べでもしているのか? と見紛うようにズラズラズラーッと並べてビンゴ大会をジリジリと待っていたのだ!