フルレンジ一発のシンプルなスピーカーは音像定位がシャープで音場感にも優れている。ここにスーパーツイーターを足すと中高域の音色向上が狙える。それにはどんなスーパーツイーターがいいのだろうか? 価格は、方式は、またコンデンサーのブランドと容量で音が変わるかを実験した。
■フルレンジにスーパーツイーターを追加しよう
通常の2Way方式以上のスピーカーには、ネットワークが使われている。その内容は低音専用ユニットのウーハーに低音信号を流すためのローパスフィルター、高音専用ユニットのツイーターには高音信号を流すためのハイパスフィルターを入れて、さらにウーハーとツイーターの能率を揃えるための抵抗などが加えられている。ネットワークによってスピーカーの音質は大きく変わるため音作りの重要な要素であると同時に、音質を劣化させる必要悪とも言われている。これを嫌ってユニットの数だけアンプを用意して専用アンプとチャンネルディバイダーを使ったマルチアンプ駆動こそが理想という人もいる。音源がデジタル化されるとDSPを使って、ほとんど音質劣化なしで超細かい設定までできるようになった。また大きくて思いパワーアンプもクラスD構成を採用すれば小型化が可能。ハイレゾ時代のマルチシステムの可能性が見えてきた。その一方では、シンプルイズベストに従い、フルレンジスピーカーはネットワークレスでそのまま接続、超高域再生用のスーパーツイーターをローをカットするためのコンデンサー1個で接続するという方法もある。
■スーパーツイーターを2種類用意!
今回、実験するのは後者のスーパーツイーター+コンデンサー1個の組み合わせだ。スピーカーには10cmフルレンジ一発のバックロードホーンBearHorn『TBW-1000SPD』を使用する。スーパーツイーターはコスパ重視でボイスコイル径2inch(50mm)のコンプレッションドライバーPYRAMID『TW47』7542円×2を第一候補にした。能率106dB、再生周波数帯域2000〜25kHzである。フルレンジFOSTX『P1000』の高域の帯域限界は16kHzで、能率は88dBとなる。
さらに興味のあったハイルドライバーを使ったDayton Audio『AMT3-4』1万2190円×2も試聴する。再生周波数帯域1900〜18kHz、能率93dB、4Ωである。ハイルドライバーはリボン型よりも優れたツイーターとして注目されている方式で、アコーディオンのように折りたたんだプリーツと呼ばれる振動板が空気を圧縮、放射させて音を出す。リボン型よりクセのない音でハイスピードだという。本機はESS社の技術協力を得て、振動板にカプトンを採用して完成。ハイエンド製品にしか使われない高価なハイルドライバーに、ハイコスパ版が登場したのだ。2種類のスーパーツイーターは「横浜ベイサイドネット」に取材協力をいただき借用した。