都市部を中心に、コンパクトサイズのSUVやワゴンが人気を集めている。個性的なスタイリングだけではない、輸入車の魅力を探ってみた。
SUVやラゲージスペースが広く荷物の積み降ろしがラクなワゴンの人気は根強い。だが一方で、車種の選択肢が少ないのも事実。特に国産車の場合コンパクトなSUVやワゴンは少ない。そこで注目したいのが輸入車だ。ダウンサイジングエンジンを搭載した新型車が次々と上陸している。今回は旬な2台を比較試乗した。
ミニのワゴンは『クラブマン』という名前で2007年に登場。〝ボディー片側リアドア〟という変則的な形だった。2代目は2015年秋にフルモデルチェンジ。ボディーは大きくなり、ドアも4ドア+リアゲート2ドアの6ドアになった。エンジンは『クーパー』が3気筒の1.5Lターボ+6速AT。『クーパーS』は4気筒2.0Lターボ+8速ATで、どちらも前輪駆動となっている。
一方、フィアット『500X』も2015年9月に登場したばかり。2008年に販売を開始した。足回りは同社傘下のジープの『レネゲード』と共通でパワーユニットは1.4Lターボ。FF車は6速AT、4WD車の『クロスプラス』は9速ATを組み合わせている。『クーパー』と『クロスプラス』はFFと4WDで駆動方式が違うのだが、価格や動力性能は近いものがある。
◎充実した走行モードと想像を上回る低燃費
ミニの3気筒1.5Lターボはアイドリング時の音が若干大きめ。シフトタイミングやトルク曲線はATシフトの根元にあるリング状の切り換えレバーでグリーン/ミッド/スポーツの3種類が選べる。スポーツモードは3000回転から上の伸びは鋭く、一気に5500回転まで上昇する。ミッドモードは2500回転からレスポンスがよくなるが爆発的な加速はない。だが走行燃費はカタログ値を上回る17〜20km/Lを記録した。
『500X』の1.4Lターボは、2000回転以下のトルクは細め。こちらもオート/スポーツ/トラクションの3モードを用意。トラクションモードは後輪への駆動力を多めにしたセッティング。4WDの走りはジープの技術を応用していることもあり心強い。実走燃費は12〜17km/Lと、こちらもカタログ値を大きく上回った。
個性的なスタイリングだけでなく、きめ細かい走行性能、上質感のあるインテリアなど2台とも完成度はかなり高い。国産車が手薄なコンパクトSUVやワゴンのカテゴリーで、今回紹介した2台のような輸入車の注目度が高まっている理由がわかるような気がした。