日本で携帯電話が発売されてから約30年。持ち歩ける電話から情報通信端末へ。これまでの激動の歩みから、さらにその先の展望を予測する。
◎小型化から大画面さらに将来は体内へ
持ち出せる車載電話として『ショルダーホン』が発売されたのは、今から約31年前。
「国内初の端末は重さが1kg近くもありましたが、モトローラの小型モデルが上陸したのをきっかけに、日本でも一気に小型化が進みました」
携帯電話史に詳しい青森公立大学准教授の木暮祐一氏はそう当時の様子を振り返る。
やがて時代は、アナログからデジタルへ。1999年には「iモード」がスタート、2000年には「写メール」がリリースされ、今につながる情報検索やチャット、写真のシェアが楽しめるようになった。以降、ワンセグやおサイフケータイなど、独自の進化を遂げてきた日本のケータイはまさに世界の最先端だった。しかし、2007年に『iPhone』が登場で、状況は一変する。
「スマートフォンの時代が到来、オープン化の波にのまれ、海外メーカーが台頭する一方で、多くの日本メーカーが撤退を余儀なくされてしまった」(木暮氏)
『iPhone』の登場から間もなく10年。スマホはこの先どこに向かうのか。
「IoTの時代になっても、核となるのはやはりスマホでしょう。ただその頃にはIoTのセンサーがコンタクトレンズに内蔵されているなど、ウエアラブルの先のインプランタブル(体内埋め込み)な世界が実現しているかもしれませんね」
携帯電話収集家、研究家として知られ、1000台を超える携帯電話を所有。特定非営利活動法人モバイル学会理事/副会長。