『沸き上がる感情、導き出される結論!!』
実は水風呂よりも水シャワーの方が、皮膚表面の温度に関してはよく冷やしてくれる。シャワーの水が体表を流れていくことによって、皮膚の温度を熱交換でどんどん奪っていくからだ。
水風呂の場合、熱交換で皮膚の温度を奪った水が、ちょっと生ぬるくなって体の回りにとどまってるワケだ。ジャグジーみたいに水が循環してたり、自分で体の回りの水をかき混ぜたりしないと、サウナーのいう羽衣状態になるわけですね。オレはこの羽衣状態が大嫌いだけど。
だから皮膚表面に関してはシャワーでも充分に冷える。ただし、体の芯といいますか、脊椎の方まで冷えるか? っつうとこれがさっぱり冷えないんですよ、不思議なことに。本当に皮膚だけ冷える状態。で、皮膚だけは、これ以上水シャワーを浴びられないってくらい冷えたと思い、水シャワーを辞めても、やっぱり体の中はポッポしてる感じが残る。
この後、フィンランドみたいに冷たい風に当たれる場所で外気浴休憩ができれば、体内のポッポとした熱と、冷たい風が拮抗するように体の表面でせめぎ合う感じになって、これがものすごく気持ちいいんだけど、日本の銭湯じゃそれもできない。
オレはとりあえず皮膚のみ冷えた状態でカランの前に座って、洗面器に水をため、それに足先を浸して、休憩することにしてみた。
ん〜水風呂からの休憩とまではいかないが、けっして悪くはない。5分くらい立つと、またサウナに入ろうか? ってな気分にすらなってきた。ひょっとして、水風呂なくてもどうにかなるんじゃないか? サウナって。
そんな感じでお決まりの3セットを繰り返し、体を拭いてから脱衣所でパンツ一丁で休憩してみる。脱衣所は浴室よりも涼しいのでさらに気持ちいい。そして一セット目同様「悪くはない」という中途半端な感想で銭湯を出た。その瞬間、ある感情が湧き出た。この感情が、水風呂なしサウナの全てを物語っているといってもいいかもしれない。
いつもサウナ上がりは「酒飲みてェェェ!!」と思うんだが、この時に限って思った感情がこれだ。
「水風呂入りてェェェェ!!」
銭湯から出た瞬間に思ったのがこのことなのだ。
結論。やっぱり日本のサウナは水風呂があった方がいい。
ただ水風呂のないサウナに入ってしまった時は、強烈な水圧の水シャワーがあれば、ある程度はイイ気持ちに慣れることはわかった。ただ夏はきついだろうね、水シャワーもヌルヌルだろうし。その分冬ならば、もっと気持ちいいかもしれない。脱衣所に冬の冷たい外気をガンガン入れてるような銭湯ならば、もっといいかもしれない。
でももう一度書く。冷たい水風呂にはかなわないや。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。
■連載/カーツさとうの最強サウナ熱伝