■連載/カーツさとうの最強サウナ熱伝
ウチから一番近いサウナというと、歩いて10分の場所にサウナ付銭湯がある。
しかオレは一度もこの銭湯に行ったことがない。その理由は明快だ。
サウナはあるけど水風呂がないのだ!! もうサウナー的にいえば、サウナを設置してる意味ないじゃん! というヤツである。
実はこのサウナはあるけど水風呂はないというタイプの銭湯、調べてみると首都圏には結構ある。70年代の第一次サウナブームの時、銭湯経営者が「とりあえず流行ってるからサウナいれとくか?」と深く考えずに、洗い場のカランを4セット分くらい撤去してサウナ室だけ作ったというパターンだということは簡単に想像はつく。
でもさぁ、せっかく近所にあるんだから一度もいかないのは勿体ないんじゃないか? と常々思ってはいた。その想いには3度にわたるサウナの聖地・フィンランドでのサウナ体験も後押ししていた。
というのもフィンランドのサウナには水風呂がないのが普通なのだ。湖畔や川沿いにサウナを作り、水風呂代わりに湖や川に飛び込むという“ランタサウナ”というのもあるが、それは郊外での話で、休日やバケーションで味わう特別な日のサウナの話だ。
フィンランド人が日常入る家庭のサウナは、水風呂の変わりに北欧ならではの“ド冷たい”水シャワーを浴び、その後はこれまた北欧ならではの“ド心地よい”冷たい風を浴びて外気浴をする。
たとえ水風呂がなくても、フィンランドの風土は、日本における水風呂に入るのと同じような……いや、それ以上の気持ち良さを確実に与えてくれるのだ。
そんな気持ちよさを、ウチの近所の水風呂なし銭湯サウナでも味わえないもんか? 味わえないなら味わえないで“やっぱり日本のサウナは水風呂がなけゃダメ!!”という最終審判を下すこともできる。そう思ったら、もうサンダル履きで女房の自転車に乗り、その銭湯に向かっていた。
自転車に乗ったら4分もしないで、その銭湯に着いていた。名前は『T湯(仮名)』。外観はよく見かけるマンション銭湯だ。フロントで「サウナも一緒に」というと料金は570円。オレの住んでる神奈川県は、銭湯料金というか普通公衆浴場の料金は470円と全国で一番高額な都道府県である(二番手は東京都で460円)。なんでサウナに入る追加料金は100円。
この100円というのは安い!! 普通、銭湯サウナでサウナに入る追加料金は300円から400円くらいが多い。まぁその分、タオルがついてたりするんだけど、なかには総額で1000円っていう銭湯サウナもあったしな〜。そこは東京都の銭湯だったから追加料金540円ですよ!! 逆に追加料金なしでサウナに入れる銭湯もあるにはあるが、今の時点でそんな事実は忘れて、追加料金100円を、
「安い!!」
と喜んでおきたい。そしてオレはまずはその経済的なうれしさにホクホクしつつ浴室へと向かった。