■Impression
せっかくなのでここでオペアンプを交換して音色の変化を楽しむという大人の遊びをやってみたい。リファレンスDAC、Resonessence Labs『INVICTA MIRUS』のバランス出力をパッシブアッテネーター、EL SOUND『highendvolume XLR custom』にORB『J10-XLR Clear Force』で接続、アンバランスケーブルORB『RCA-AKIHABARA』でヘッドフォンアンプに接続した。ヘッドフォンはPHILIPS『Fidelio X1』をリケーブルしたものを使った。
●BarBrown「OPA2134PA」(キット付属品)
入力部にFETを使ったオペアンプでハイコスパで高性能、フワッと空気の押されるような量感のある低音が出せるが、解像度がもう少し欲しい。高域は硬質、輪郭のハッキリした音だ。ハイレゾ音源向き。
●BarBrown「OPA2604」
入力から出力部までオールFET構成。高級プリアンプの定番。S/N感が向上して落ちついた音になる。低域の解像度は「OPA2134PA」よりも劣る。やや分離の悪い音だが、ジャズにはこれしかないという音色が魅力。
●LinearTechnology「LT1364」
スルーレート1000V/μ秒と「OPA2134PA」の50倍も立ち上がりが素早いオペアンプ。クッキリとメリハリのある音。スピード感がある。ボーカルはややドライ。粒立ちのいい音。解像度は高い。モニター的、高域はややきつい。見晴らしのいい音だ。
●新日本無線「MUSES01」
ハイエンドオーディオ向けに開発されJ-FET入力高音質オペアンプ。フレームに世界で初めて無酸素銅を採用。お値段何と3500円(税込)と笑ってしまうほどの高価格。S/N感がよく、瑞々しく透明感がある音。ボーカルが尖りすぎずなめらか、高域も美しい。クラシックの楽器の音もなめらかで低域はタイトでスピード感がある。
試聴の結果、バランス用のオペアンプは「MUSES01」を使うことに決定。2個必要なので合計7000円でヘッドフォンアンプよりも高価な部品だが、音質向上効果は抜群である。今度はAKG『AK601』をバランス対応に改造したものを使ってバランス駆動の音を聞いてみよう。アンバランスよりもボーカルの音像定位がピタリと小さくセンターに決まり、音場も左右に広々と広がっている。純正のオペアンプ「OPA2134PA」を2個使ったバランス駆動の音も確認してみると、さわやかで透明感のある音になった。音場感に関しても同様の改善効果が得られている。こちらのオペアンプならプラス1個数百円の出費でバランス駆動ができるので、ぜひ試していただきたい。
私のオペアンプコレクションから、過去の成績が良かったオペアンプを厳選して試聴をおこなった。オペアンプは脚が折れやすいのでゲタを履かせている