■Introduction
私が最近、感じているのはデジタルよりアナログ回路の方が音質への影響が大きいということだ。例えばDACの音質を左右するのは、DACチップよりもオペアンプだったり、電源部だったりするのではないかという疑いである。昔からパワーアンプは電源部の設計で音が変わることが知られており、A級、AB級、D級というのも電源供給の方式の違いだ。最終的にはDC電源最高ということになり、Technicsが充電池駆動で4時間動くプリアンプを発売すれば、JeffRolandDesignは電源部別体型の充電池駆動プリアンプを負けじと作ったのだ。つまり、電池駆動のハイレゾプレーヤーとかDAC内蔵ポタアンは理想のDC電源を使っているとも言える。
最近では据え置き型でもDCアダプターで駆動するデスクトップコンポが増えてきたが、これらの電源部は貧弱なものが多く音にいいとは思えない。そこに目を付けたiFIから『iPurifier DC』1万6000円というノイズキャンセラーが発売され人気を博している。もっと本格的なオーディオ専用電源も存在する。今回はAudioDesignのバランスヘッドフォンアンプ『Tempo』5万円をお借りして電源による音の違いを検証した。
■Report
私はAudioDesign『DCHP-100』の音が好きである。新製品の『Tempo』の音も気になる。このヘッドフォンアンプ3線バランス駆動対応なのだ。バランス入力対応で、出力が3極のバランスと4極のバランスに切り換えられる。もちろん3極バランス対応ヘッドフォンというものは存在せず、普通のアンバランスのヘッドフォンやイヤフォンを接続するだけで、バランス駆動になるという。その技術は発展途上のためtemporary(一時的)の意味を込めて『Tempo』と名付けられたそうだ。
原理はLchとRchの逆相信号が同じレベルになるようにして、Rchのホットとコールドの両方から同じ信号Xを引くとX=2C-1Cとなり…… そこのあなた寝ないで! つまり私にもよく分からないのだが、3極バランスにすると音質は向上するがアース線は共通なのでクロストーク成分はなくならないとのこと。理屈はどうあれ音が良ければそれでいいのだと開き直り試聴開始!
純正のペアはフロントパネルに統一感があって正面からのサイズも同じで並べて置いた時にカッコイイ
リアパネルにはDC INとDC OUT、そしてXLRのバランス入力が並ぶ。本機はバランス入力専用である