■連載/阿部純子のトレンド探検隊
◆好調に推移している「若菜」のビジネス戦略とは
働く女性や独り暮らし、シニア世帯の増加に伴い、スーパーやデパ地下、弁当店でお惣菜を買い自宅で食べる「中食」が定着して、惣菜カテゴリーのマーケットは拡大している。西友100%子会社で惣菜の製造、販売を手掛ける「若菜」も、2年連続で前年比5%以上の売上を達成し、西友の好業績をけん引している。
西友の惣菜ビジネス戦略発表会では、若菜の中村 真紀 代表取締役社長がビジネス戦略と商品施策を発表、若手開発担当者による新商品の紹介が行なわれた。
「昨年は既存店全店の売上高で前年比5.3%という実績を残すことができた。2014年は5.1%で、2年連続5%以上の伸びを達成。2013年の11月より本年の2月末までで28か月連続で既存店の前年比を伸ばしている。
より価値のある商品をより安く提供し続けてきた結果だと自負しているが、力を入れたひとつがエリアのニーズに合った商品開発。一例をあげると、九州地方は一昨年までは売り上げが苦戦したエリアだったが、昨年地元で支持されている定番商品に絞って商品開発を行なったところ、売上が大きく伸びロス率も下がった。このようなことを現在全国で取り組んでいる。
販売面ではピークタイムに合わせた売り場の強化をし、昨年の10月以降、お客様の購買行動に合わせた生産体制、発注を行なった。その結果、売上げが大きく伸びただけでなく、廃棄や見切りの値替えといったロスが減りロス率が下がった。商品開発、店頭での製造販売のどちらのプロセスも、アソシエイトと呼ばれる従業員の力があってこそ実現できた」(中村社長)
若菜の商品構成は既存商品が90%、新商品が10%。9割を占める既存商品は開発プロセスの見直しを行い、これまでの3か月ごとに商品を見直すという計画を、今年は年初から年末までの12か月計画という長いプロセスに移行。年間の計画を立てることでスケールメリットが生まれ原材料調達の幅も広がった。
人材強化の面では若手、女性の活躍を推進。昨年若菜では初めて公募制度を導入し、32ある地区マネージャーという営業上重要なポジションを公募で選び直した。それも含め約50のポジションで公募を行った結果、潜在力のある若手や女性の発掘、機会の提供ができたという。西友は女性店長を育てる目的でハイポテンシャルな女性アソシエイト対象に「ウーマン・イン・リテール」プログラムを実施しているが、今年は若菜からのアソシエイトも参加予定で、若菜独自の「若菜WOMANプロジェクト」も継続するなど、女性の活用に力を入れている。