以前も書いたけど、僕が家で買い置きして常飲しているのは、サッポロの『麦とホップ』。ちなみに、最近、麦芽量が増えたけど、前のほうが好きだった。これは僕の好みではあるけれど、一概に麦芽量が多いからではなくバランスだという一例ね。
そして今日は、僕の大好きな、「究極のハイコスパビール」(酒税法的にはビールじゃないが)を紹介する。
まず感じるのはフルーティさ! フランス産アロマホップのおかげもあるだろうけど、醸造法もうまいのではないか。麦芽量の少なさをカバーして余りあるテイスト。モルト感がないと、安っぽい「ライト」な仕上がりに流れがちだが、これはそう感じさせない。「ドライ」ではなく「さわやか」という印象。さすがに苦味は少なく、少々の酸味と甘味で、チューハイに近い印象。マリアージュは超万能。何にでも合う。ひとつ気になるのは、泡持ちの悪さ。
こちらはドイツ産ホップ使用。濃過ぎず薄すぎないクセのないローストフレーバーがみごと。ライト目のチョコスタウトという感じ。色のイメージと違い飲み口は素直、舌先にヒリリとくるわずかな辛み、そして後からくるほどよい苦味。しつこさがなくスムース。こういう、さわやかな仕上げの黒は面白い。
5年以上前、まだこれがあまり知られてなかった頃、オクサンの田舎、栃木のカインズホームで発見。あまりの安さが物珍しく飲んでみたら……ええっ! かなりイケルじゃん! と。1年近くネットでまとめ買いして常飲していた。当初、人気のせいかよく品切れになっていたし、一時的にCMやってたから、かなり好調だったのだろう。いやほんと美味しいのでオススメする。
詳しくは以下に。
500mlは、24本で2780円。1本当たり116円弱!
330mlは、24本で1980円。1本当たり83円弱!
一般的な350mlではなく20ml少ないのがミソだが、しかしそれでも驚異の低価格。ちなみに、僕が常飲する「麦とホップ」500mlの最安値を価格コムで調べると、24本で3637円。1本当たり152円弱で、「黄金」との差、36円。原産国はベトナムというあたりが、このクオリティを安く提供できる要因なのだろう。
黄金とは逆に、この価格でこの仕上がり? と思う銘柄もある。もちろん、ブルワリーやブルワーが手を抜いているのではなく、「作り手のセンスと自分の好みが合わない」だけなのだが。
まあつまりは、価格と味と好みは、別の事柄として飲んでいこうということだ。
★今日のビール川柳★
酒税法 味と価格が アンバランス
文・写真/石黒謙吾(いしぐろ・けんご)
著述家・編集者・分類王。日本ビアジャーナリスト協会・副会長、日本ベルギービールプロフェッショナル協会・理事。映画化されたベストセラー『盲導犬クイールの一生』はじめ、『2択思考』『図解でユカイ』『ダジャレヌーヴォー』『エア新書』『分類脳で地アタマが良くなる』『ベルギービール大全』など幅広いジャンルで著書多数。プロデュース・編集した書籍も、ベストセラー『ジワジワ来る○○』(片岡K)、『ナガオカケンメイの考え』、『負け美女』(犬山紙子)、『読む餃子』(パラダイス山元)など200冊以上。twitter: @ishiguro_kengo、facebook:石黒謙吾、blog:イシブログケンゴ