『サウナ界にも佐野研二郎はいるのだった』
で、ここはそんな動線もバッチリで、サウナ室の目の前にはかけ湯。そしてサウナ室のすぐ隣には水風呂というありがたい配置。で、その水風呂がまたありがたい水質!
なんと温泉である黒湯をそのまんま水風呂にしてる! ようするにあったかい黒湯の方は加熱してるワケですね。で、そのまんま黒湯の水風呂の温度は、浴槽のアナログ温度計によると約20度。
キンキンに冷えてるワケではないけれと、温泉といいますか冷泉の肌あたりは気持ちいいし、その水がジャグジー的に攪拌されてるんで、体感はもうすこし冷たく感じて気持ちイイったらありゃしない。
で、露天風呂のスペースもあるんだけど、デッキチェアが置いてあって、水風呂上がりの外気浴にはうってつけ。都心の銭湯の露天風呂って、
「とりあえずつくりました…」
って感じの、カタログ上のスペックとしての“露天風呂有”を満たすためだけに作ったようなのが多いじゃない?
もう壁に囲まれた、小さな箱庭から小さな空が見える、刑務所の独房みたいな、ショーシャンクの空か? っていうような露天風呂ばっかじゃない。ところがココは空もドンと広く見えて、なにしろ風通しがいい!!
これだけ風通しがいいと、冬だっから、水風呂に入ってる時間を短くして、自然の風で体をジックリ冷やす、フィンランドで覚えた快感システムも味わえる。
『T健康ランド』にしても『S湯』にしても、その世界のパイオニアっていうのは、たとえ後発の、もっと研究しつくされた施設が出てきたとしても、色褪せないっすね。むしろ、後発のヤツを経験したときに、
「ずいぶんパクってんな~」
っていう、今となっては懐かしいサノケン的な印象持たれちゃって、ますます光り輝くのかもしれない。
あ、これからパクってるサウナ見つけたらサノケンサウナって呼ぶことにしよう。
でもフナケンはサノケンではない。あ~うまくまとまったな。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。