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サウナーの聖地、船堀『T健康ランド』と武蔵小山『S湯』を巡る

2016.03.10

■連載/カーツさとうの最強サウナ熱伝

 サウナの歴史を語るうえで、忘れちゃいけない二つの施設に連続して行ってきた。

 一つ目は、東京は江戸川区の船堀にある『T健康ランド(仮名)』である。

 サウナといいますか、いわゆる都心型巨大温浴施設のハシリで、オープンしたのはもう30年くらい前だと思うが、その頃は都心にこんな巨大な温浴施設なんてなかったんですよ。すいません、今開業の年を調べたら1986年! ちょうど30年前でした。

 で、こっから懐かしい話を書いてくんで、80年代バブルのエピソードと思って読んでほしいんだけど、当時、大きい風呂っていったら熱海だ箱根だ鬼怒川だなんていう温泉地にあるデッカイホテルの大浴場くらいなもんでさ。都心で大きい風呂っていったら、最近閉鎖しちゃった東横線・綱島駅近くの『東京園』とか、これも今はない『麻布十番温泉』とか、唯一残る『浅草観音温泉』くらいのもんだったけと、やっぱりちょっと大きな温泉銭湯+宴会場って範疇だったんですよ。
 
 あとは1977年にはなくなっちゃった『船橋ヘルスセンター』っていう、とんでもないマンモス施設もあったけど、あれは温浴施設というよりも『スパリゾードハワイアンズ』に近い、テーマパークみたいなトコだったからジャンルは別でしょうね。

 で、なにが言いたいかっていうと、『東京園』『麻布十番温泉』『浅草観音温泉』の風呂施設っていうのは、ようするに温泉浴場だけなんですよ。湯船があって洗い場があってという。

 ところが『T健康ランド』は、既存の施設に比べて圧倒的に規模が大きいだけじゃなく、浴槽もバラエティーに富んでて、ジェットバスだ寝湯だ薬草湯だミクロの泡が溶けた湯だ、今までみたこともないような浴槽が一杯あるの!

 そうなんだよ。当時はそういう浴槽ってなかったんだよ!! で、もちろんサウナもあって、なんかそういう浴槽を代わりばんこに入ってるだけで楽しかった。

 たぶんオレ、ジェットバスっていうか、泡がボコボコ出るお風呂って、ココで生まれて初めて入った気がする。

 それが贅沢に感じてね。アメリカあたりのセレブが、そういうジャグジーに入ってるような写真はみたことあったけど、ついにオレも体験したか! と。汗流しつつ、うれし涙出そうだったもん。

 当時の出版業界っていうのはネットはもちろん、ファックスですら持ってる人が少ない時代だからさ。オレみたいな外部のライターも締め切りとなると編集部に詰めて原稿書くワケ。で、明け方に仕事が終わると、みんなでこの『T健康ランド』に行くっていうのが大流行したんですよ。

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