レジェンド怪獣の復活と制作費の絶妙な関係
──辻本監督は怪獣のデザインを手がけることも。『ウルトラマンブレーザー』で初登場したモグージョンはそのひとつだ。
辻本 僕は怪獣の三面図をしっかり描けないんだけれど、どんなデザインの怪獣も、円谷造形部さんが絶妙なアレンジを加えて、最終的には立派なウルトラ怪獣にしてくれる。だから初めてデザインから手がけたモグージョンの造形を品田さんがやってくださると聞いた時、本当に安心しました。
品田 あんまり自分が作った怪獣は贔屓しないほうなんですが、モグージョンと『ウルトラマンアーク』のシャゴンは、何か可愛くて好きなんですよね。
辻本 それはうれしい!
品田 実は辻本監督と私は縁が深くて、自分が作った怪獣を辻本監督が撮ることが多いんです。
辻本 品田さんたちはテレビ撮影とは別に、イベント用などにレジェンド怪獣を新しく作っていますよね。どの怪獣を製作中か、その噂が現場に流れてくるんですよ。だから「それ、撮影で使っていい?」と交渉しています。
品田 『ウルトラマンZ』のバラバもそうだったかな。
辻本 バラバは違いますよ、先輩! 新しく超獣を作りたかったんですが、シンプルなデザインでコストを低く抑えられるカメレキングかギロン人ならOKと言われていたんです。なのに、ある日「バラバでもいいですか?」と逆に連絡が来て(笑)。僕は品田さんが「作りたい」と言っていると聞いたんですけど……。
品田 いや、あれは同じLSSチームの福井(康之)さんが作りたかったんだと思う。
辻本 『Z』のバラバは『ウルトラマンA』のスーツではなく、デザイン画に寄せてますよね。
品田 そうなんですよ。『A』のバラバはスッポンみたいな顔をしていたから、リメイク版は元のデザインに寄せて、より凶悪な顔なのに、どこか笑っているようにしたんです。レジェンド怪獣をリメイクするとき、スーツを見て作ると「コピーのコピー」になってしまい、デザインの意図がぼやけてしまうんです。だから、必ずデザイン画を見直していますね。
辻本 デザイン的なボリュームのある新怪獣を作るには予算がかかるので、レジェンド怪獣祭りにして盛り上げておいて、満を持してド派手な新怪獣を出すことも。そういう意味では『ウルトラマンデッカー』の地底怪獣を4体も出した回が思い出深いです。
品田 パゴス、テレスドン、グドン、そして大群のツインテールが出てくる回だよね。
辻本 実はツインテールのスーツがなかったんです。そこで「暗闇でよくわからないから大丈夫だ」と、グリーンバックの前でフィギュアを動かして、あたかもいるように見せました(笑)
品田 そんな裏技を使ったんだっけ。苦労してるね〜(笑)。
『A』登場のバラバを活躍させてあげたくて新調!

「バラバはエースキラーの影であまり活躍できなかった不遇な超獣なんですよ」と話す辻本さん。『Z』ではゼットとエースが共に挑む強敵として描いた。


辻本さんが監督した『デッカー』の第6話では4体の地底怪獣が登場し、デッカーやその仲間であるアギラと地底の世界で大激闘を繰り広げた。
歴史に名を残す怪獣のポイントとは?
──長年シリーズに携わる2人に、今も語り継がれるレジェンド怪獣と、その他のウルトラ怪獣の違いはどこにあるのでしょうか?
品田 個人的に『ウルトラマン』全39話の中で、一番マイナーな怪獣はゴルドンだと思っているんです。なぜかと言うと、大村千吉さんが演じる山本の絶叫が強烈で、物語の大筋に絡んでいないから。
辻本 確かに、金を食べるだけですからね。やっぱり物語での扱いや活躍度合いによる気がします。一方、歩くだけで周囲を火の海にするザンボラーとか交通事故で亡くなった少年の霊が乗り移ってクルマを襲ったヒドラは、物語性があるので人気が高いのはわかります。ましてやゼットンは〝ウルトラマンを倒した怪獣〟なので、メチャクチャ記憶に残りますよね。
品田 でもドラコの人気が高いのが謎ですよね。サブタイトルにある怪彗星ツイフォンと絡んでいたわりには、すぐレッドキングとギガスにボコボコにされて出番が終わりなのに(笑)
辻本 そうなんですよね。デザイン性が良いからなのかな?
品田 『ウルトラマンティガ』に登場するナターン星人も、正体を現して1分ちょっとでやられちゃうのに、逆に覚えるんですよ(笑)
辻本 パッと見は人気出そうなデザインですからね。結局のところ、デザイン性と物語の中の活躍度合いが上手く合致したら、人気が出るんじゃないかな。
辻本監督が撮りたい〝推し怪獣〟
モグージョン

「自分の怪獣を挙げていいならそればっかりになってしまうんですけど(笑)、最初にデザインをしたモグージョンは入れてあげたいですね」
ベムスター

「小学校のレコードジャケットを描く課題でベムスターを描きました。『ウルトラセブン参上!』の参の字が書けずに困った記憶があります」
キングマイマイ

「キングマイマイは幼獣と成獣、2つの姿があって、特に幼獣がカッコいいんですよ。ウルトラマンと成獣の夕陽の戦いの演出も素晴らしかったですね」
品田さんが作りたい〝推し怪獣〟
ガラモン

「ガラモンは含蓄のある顔をしていて、写真で見ると生きたガラモンが存在しているように見えるんです。僕には〝あの顔〟は作れません」
バルタン星人

「顔のデザインがアシンメトリーで似せるのが本当に難しいんですよ。僕が作ったバルタンを超えられるものなら超えてみろと思ってます(笑)」
タッコング

「体型を丸くして、触手も作らずに吸盤だけつけているのに、タコと言われればタコに見える、というのがすごいですよね。普通はあの発想には至らないです」
取材・文/佐久間翔大 撮影/川上裕生(怪獣)、江藤大作(人物) 編集/寺田剛治
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