シュワッチ! 言わずと知れたこの掛け声は、そう、ウルトラマン!! 60周年を迎えた今も、なぜあの〝光〟は俺たちの胸を熱く焦がすのか? 各界の識者の熱い視点、現場を支える裏方たちの血の通ったものづくり魂、そしてスペシウム光線のごとく心を射抜くマーケティングの真髄を徹底取材! 時代を超えたヒットの軌跡に触れた時、あの日の胸の高鳴りと、現代(いま)を戦う大人の覚悟が響き合い、明日へ立ち向かう勇気が熱く呼び覚まされるはず……。これは厳しいビジネスシーンに立ち向かう〝君〟に捧げるウルトラマン大特集だ。ヘアッ!
今回は、特集の中から怪獣制作の裏側をお届けする。
現場の知恵と愛が生み出すウルトラ怪獣のDNA
ウルトラマンシリーズを語るうえで欠かせないのが、毎回登場する〝怪獣〟の存在だ。個性豊かな能力やデザイン、ドラマ性のある背景で物語を彩るその魅力を、怪獣好きで知られる辻本監督と怪獣マエストロの品田さんに聞いた。

『ウルトラマンテオ』特技監督 辻本貴則監督(右)
2011年、『ウルトラゾーン』で円谷プロダクション作品に初参加。24年、『ウルトラマンアーク』で初メイン監督を務め、最新作『ウルトラマンテオ』ではメイン特技監督として参加。
怪獣造形師 品田冬樹さん(左)
1994年、Vi-SHOPを設立して『ガメラ2 レギオン襲来』などに参加。2009年、円谷プロダクションに入社し、現在は製作本部製作部LSSチームのチーフクリエイターを務める。
(右)BANDAI SPIRITS『S.H.Figuarts ゼットン 60th Anniversary Edition』1万1000円、(左)BANDAI SPIRITS『S.H.Figuarts エレキング』9350円
現在の怪獣にも息づく初代ウルトラマンの遺伝子
『ウルトラマン』などの初期作でヒーローや怪獣のデザインを手がけた成田亨さん。彼の影響は60年経った今も強いという。
辻本 番組に新しい怪獣を出せるとなった時、最初の選択肢として成田亨さんのデザインについて議論するんです。ウルトラ怪獣っぽく見えない場合は、「この辺を蛇腹にして、もうちょっと〝成田味〟を足してほしい」とよく言っています(笑)。
品田 我々が作っているのはウルトラですからね。
辻本 模倣するのは申し訳ない……という気持ちもあるのですが、やはりウルトラ怪獣の原点なので。オマージュってことで。
品田 成田亨さんは怪獣に無機質な人工物のようなデザインを取り入れて、ゴジラなど東宝の怪獣とは違う新しさが生まれました。蛇腹のデザインもそのひとつ。ケムラーやゼットンなど、怪獣の要所要所で使っていますよね。
辻本 レッドキングもね。あとゼットンのようにブロック状のデザインを入れるのも斬新ですよね。
品田 四角い目のデザインなんて、動物の体に付いていたら奇妙なので普通は思いつきませんが、それを入れてくるのが大胆ですよね。今も成田さんの試行錯誤の末に生まれた〝名怪獣〟の影響下にある気がします。
辻本 宇宙人もそう。怪獣よりも絶妙に違和感を抱くデザインになっているんだけれど、ちゃんと同じ世界観にいるように見えることもすごいと思いますね。
品田 大胆といえば、『ウルトラマンA』や『ウルトラマンタロウ』で怪獣のデザインを手がけた鈴木儀雄さんも! 彼は怪獣のタテガミやエラといった「垂れ物」を怪獣デザインに盛り込みます。これも大胆な発想だと思いますよ(笑)。
辻本 僕は「改造怪獣」(※既存の怪獣のスーツを改造し、新怪獣にすること)もやらせてもらうんですけど、その時は垂れ物をつけて〝鈴木味〟を入れないと改造した感じが出ないです(笑)。
品田 垂れ物があると顔の印象が大きく変わるので、改造怪獣には欠かせませんよね。
──何度も改造を重ねた怪獣がいるという話もありますよね?
辻本 『ウルトラQ』のパゴスが、その代表ですね。東宝から借りてきたバラゴンから始まり、パゴス→ネロンガ→マグラー→ガボラと、ツノやエリを追加するなどして改造されまくりました。最新作の『ウルトラマンテオ』でも、ガボラのスーツを改造した新怪獣・ネボラが登場しています。『ウルトラマンオメガ』でオメガにエリを切られたガボラを撮ったときに、千切れた首の部分に新たに皮を作れば通用すると思ったんです。僕はその見た目から「素うどん」と呼んでいるんですけど。
品田 ネギすら入っていないような感じの?(笑)。
辻本 そう(笑)。名前もネロンガとガボラから取って、ネボラになりました。バラゴンから始まる改造怪獣の流れにネボラが入るのは、歴史を塗り替えた感じがしてうれしいですね。
蛇腹状の手足や幾何学的な模様の〝成田味〟を継承

ゼットン。シュルレアリスムの表現を研究したという成田 亨さんは、生物らしからぬディテールを怪獣のデザインに取り入れていた。
〝鈴木味〟を出すなら怪獣に垂れ物をデザインする


辻本監督がデザインしたリオド(下)は、『帰ってきたウルトラマン』登場のブラックキングの頭部を挿げ替えた怪獣。『タロウ』に登場した鈴木儀雄さんデザインのオイルドリンカー(上)を参考に改造したという。
改造して往年の人気怪獣に何度も活躍してもらう
シリーズの原点である『ウルトラQ』に登場したパゴスは、『フランケンシュタイン対地底怪獣』のバラゴンを借りて改造した怪獣だ。


パゴスは『ウルトラマン』でネロンガ、マグラー、ガボラと何度も改造された。最終的には『怪獣総進撃』登場のバラゴンに戻された。

『タイガ』でお披露目された新規造形のパゴス。「一から作って、ネロンガと一緒に出せるようにしたかったんです」(品田さん)




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