2026年度の最低賃金の目安は、全国加重平均で56円の引き上げになり、過去最大規模の上昇だった。飲食店の出店・開業・運営に役立つサービスを提供している『飲食店ドットコム』を運営するシンクロ・フードは、『飲食店ドットコム』会員の飲食店経営者・運営者に、2026年度の最低賃金改定の調査を実施して結果を公開した。物価や原材料費の高騰は続いているが、人件費について改定の受け止め方や今後検討している対策などの傾向がみえた。
上がり幅「56円」は4割超が想定より高いと感じた
2026年度の最低賃金の上がり幅は、43.0%が「想定より高かった」と回答しており、「想定通りの上げ幅だった」の27.2%を大きく上回った。想定よりも高いと感じた理由では、「仕入れの高騰、4月から消費税1%への危機感。飲食店における最低賃金上げは非常に厳しいです。10月よりまかないを有料化することにしました」(滋賀県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)や「物価高で上げるのはわかるが、中小企業は売上高がその分おいついていないのは明確だからそこまで上がる事は予想外だった」(東京都/カフェ/2店舗)などの声があった。想定通りもしくは低いと回答した人には、「直近数年、最低賃金は毎年40円から50円台の引き上げが続いており、今回の56円という上げ幅自体は例年の延長線上という印象です」(神奈川県/カフェ/6~10店舗)や「前年に近い額が上がると思っていたのと2030年に時給1500円という流れが緩やかになったので、こんなもんだろうと」(愛知県/その他/3~5店舗)といった声があった。
今後の見直し予定では。約半数が引き上げ額分を上乗せ
2026年の改定前のもっとも低い時給額が該当地域の「最低賃金額」と比較して、どの程度高く設定されているかでは最多が「最低賃金と同額」(28.9%)だった。全体の半数以上の店舗は、現状では最低賃金を上回る時給を設定していた。今回の最低賃金改定による時給の見直しの予定は、「最低賃金が引き上がる額分だけ、そのまま引き上げる予定」が47.2%で半数近くを占めた。一方で、「すでに新しい最低賃金を上回っているため、今回の見直しは行わない(据え置く)」という店舗は35.3%という数字になった。改定後の新しい最低賃金額との乖離予定については、「新しい最低賃金と同額にする予定」が31.1%でもっとも多く、それに「+10円~49円」が26.0%で続いた。
半数以上が経営に影響ありと回答
今回の最低賃金改定による店舗経営への影響は、「やや影響が大きく、追加の施策が必要な水準である」(37.9%)と「非常に影響が大きく、経営継続が危ぶまれる水準である」(14.5%)を合わせると半数以上の飲食店に影響がありそうだ。具体的な影響内容や理由では、「原材料費高騰分を販売価格に反映できておらず、利益率が非常に低い状態の現状に人件費高騰がプラスされる事で利益が殆ど残らない」(三重県/その他/1店舗)や「お客様の増加が見込めない上に、客単価は下降の一方で仕入れ価格が上昇していく中、利益を上げていくことが非常に難しくなっていく」(東京都/フランス料理/2店舗)といった切実な声があった。さらに最低時給が上昇したことで、スタッフ間で時給の差を出しにくい状況も生まれているという声もあるようだ。
2030年の1500円目標に向けた飲食店の対策は?
政府は2030年代前半に「最低賃金1500円」達成を目標に掲げているが、4年後の2030年の時給水準の予想については、「全国加重平均1500円を超える額となる」(33.2%)と「同等となる」(26.0%)を合わせると約6割が2030年には全国加重平均が1500円以上になると予想している。こうした時給上昇の予想に対して継続的な賃金上昇に備えた対策の実施状況では、「実施していないが考えている」が43.4%、「すでに実施している」が12.8%だった。「特に考えていない」も43.8%だったが、半数以上は対策を実施または検討していた。「すでに実施している」や「実施していないが考えている」と答えた人では、「商品の価格変更(値上げ)」が84.8%と非常に高い数字になった。それに「仕入先の見直し」(33.3%)、「営業時間の変更」(28.8%)、「自分が働くことで必要人数を削減」(22.0%)が続いた。
半数以上が「不定期」に時給を見直す
昇給などのスタッフの時給見直しを行うタイミングでは、「不定期(スタッフの能力向上や業績などに応じて随時)」が54.9%でもっとも多かった。そのほかには「毎年10月(最低賃金改定の時期)」(24.3%)や「10月以外の決まった時期」(10.6%)が上位だった。能力に応じた随時の昇給などは、改定時期にとらわれない柔軟な賃金設定を行っている店舗が多い印象だ。最低賃金の上昇は、中小の店舗などにとって大きな課題だ。半数以上の経営者や運営者が影響を感じており、その対応策も商品の値上げが8割以上という結果だった。物価高が続く中で、経営者にとっては今後も厳しいかじ取りが続きそうだ。
「『飲食店ドットコム』会員2026年度の最低賃金改定アンケート調査」概要
調査対象:『飲食店ドットコム』会員(飲食店経営者・運営者)
(回答者のうち62.6%が1店舗運営の事業者。店舗の所在地は48.1%が東京都、首都圏では63.0%を占めている)
回答数:235件
調査期間:2026年9月10日~2026年9月14日
調査方法:インターネット調査
出典:『飲食店ドットコム』(シンクロ・フード)調べ
構成/KUMU




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