普段と違う環境に身を置くと、緊張して眠れなかったりするものだ。そのため、旅行先では心身が興奮状態にあり、なおかつ、宿泊施設の寝具との相性の悪さも相まって、睡眠不足になりがちという人は多いのではないだろうか?
Morghtはこのほど、全国の20〜69歳の男女のうち、過去1年以内に国内のホテル・旅館・民宿などに宿泊する旅行をした1,000名を対象に「秋の旅行と旅先の睡眠に関する実態調査」を実施し、その結果を発表した。
旅先で「自宅より眠れない」人は63.8%。女性は72.0%、男性は55.6%
旅先で「自宅より眠れない」と感じることがあるかを聞いたところ、「よくある」(20.9%)、「ときどきある」(42.9%)をあわせて63.8%が「ある」と回答した。男女別では女性が72.0%、男性が55.6%で、16.4ポイントの差があった。
眠れない理由には、「緊張・興奮など心理的な要因」(38.6%)、「掛け布団・寝具の温度感が合わない」(29.8%)、「マットレス・敷き布団が合わない」(28.1%)、「部屋の温度・湿度が合わない」(25.7%)などが挙がった。寝具そのものだけでなく、環境と気持ちの両方が重なって眠りを妨げている様子がうかがえる。
旅先で眠れない人の49.4%が、翌日の観光や体調に影響を受けていた
旅先で眠れないことがあると答えた638名に、直近の宿泊旅行で睡眠の状態が翌日にどう影響したかを聞いた。49.4%が予定・行動または体調のいずれかに影響があったと回答している。
内訳で多かったのは「強い眠気やだるさを感じた」(19.1%)、「移動中に寝てしまった」(17.2%)、「頭が重い・ぼーっとした」(16.6%)となった。観光の予定を変更・中止した人も16.1%にのぼる。せっかくの旅先で、行くはずだった場所に行けなかった人が一定数いることになる。
直近の旅行で「あまり眠れなかった」「まったく眠れなかった」と答えた208名にかぎると、翌日に影響があった人は59.1%にのぼった。全体1,000名を年代別に見ると、20代52.5%、30代52.0%と高く、60代の21.0%を大きく上回った。
よく眠れた人の旅行満足度は96.0%、眠れなかった人は76.4%
直近の宿泊旅行の総合満足度は、全体では「とても満足」「やや満足」をあわせて91.9%となった。ただし睡眠の状態別に見ると、大きな差がみられた。
よく眠れたと答えた792名の満足度が96.0%だったのに対し、眠れなかったと答えた208名は76.4%にとどまり、19.6ポイントの差があった。旅先での睡眠の状態と旅行全体の満足度のあいだには、一定の関連がみられる結果となった。
旅先で眠れない人の49.2%は、帰宅後も仕事や家事に影響が残っていた
旅行から帰宅した後、睡眠不足の影響が仕事や家事に残ったかを聞いたところ、全体の36.4%が「残った」と回答した。旅先で眠れないことがある人にかぎると49.2%、直近の旅行で眠れなかった人では49.5%で、およそ半数にのぼる。
年代別では20代44.0%、30代42.0%が高く、60代は23.0%となった。旅の疲れが旅程の中だけで終わらず、日常に持ち越されている実態がうかがえた。
旅先でよく眠る工夫を「特に何もしていない」人が60.1%
翌日や帰宅後まで影響が出ている一方で、旅先でよく眠るためにしている工夫を聞くと、全体の60.1%が「特に何もしていない」と回答した。旅先で眠れないことがあると答えた638名にかぎっても、56.0%が何もしていないと答えている。
実際に行われている工夫は、「寝る前に入浴する」が22.5%、「アイマスク・耳栓を使う」が9.8%、「飲酒を控える」が7.0%、「自分の枕を持参する」が4.5%にとどまった。「寝具の良い宿を選ぶ」は7.7%。旅先の眠りは「そういうもの」として受け入れられ、打つ手があると認識されていない様子がうかがえる。
自宅の寝具に満足している人の65.7%が、旅先で眠れないと回答
自宅の寝具への満足度別に見ると、意外な傾向があらわれた。自宅の寝具に「満足」と答えた788名のうち65.7%が旅先で眠れないことがあると回答したのに対し、「不満」と答えた212名では56.6%にとどまった(9.1ポイント差、カイ二乗検定 p<0.05)。
自宅の眠りが整っているほど、旅先での違いに気づきやすい可能性がある。旅先で眠れないという感覚は、寝具の良し悪しだけでなく、ふだんの眠りとの落差としてあらわれているとも読み取れる。
旅先で眠れない人の88.2%が「眠れなくても旅行には行きたい」と回答
旅先で眠れないことがあると答えた人に、「旅先ではあまり眠れないと分かっていても、旅行には行きたい」と思うかを聞いたところ、88.2%が「そう思う」と回答した。
また全体の79.3%が「旅行から帰宅して、自分のベッド・布団に入る瞬間が一番ほっとする」と答えている。旅先で眠りにくさを感じながらも旅行への意欲は高く、同時に、帰宅後に自分のベッド・布団でほっとする人が多いことがわかった。
旅行を楽しみながら、旅先でもよりよく眠れる環境を整えることは、旅行体験をより良いものにするうえで重要なテーマといえそうだ。
今後、54.6%が「よく眠れるかどうか」を宿選びの基準にしたいと回答
現在、宿を選ぶ際に「寝具・睡眠環境」を重視している人は10.4%で、8項目中7位にとどまった。一方で、今後「よく眠れるかどうか」を基準に宿を選びたいと答えた人は54.6%にのぼった。現時点では睡眠環境が宿選びの主要な基準にはなっていないものの、今後は「旅先でよく眠れること」への関心が高まる可能性がうかがえる。
一方、ホテル・旅館で使われているマットレスの芯材について聞いたところ、55.8%が「わからない」と回答。ポケットコイルまたはボンネルコイルと答えた人は25.5%となった。また、マットレスの構造の違いについても、「知らない」が42.8%、「名前は聞いたことがある」が47.7%で、構造まで理解している人は9.5%にとどまった。
調査では、宿泊施設向けのマットレスではコイル(スプリング)を芯材にしたタイプが中心であることを提示した前後で、同じ回答者に使用意向を聞いた。その結果、「使ってみたい」と答えた人は、情報提示前の66.9%から提示後は71.7%へ4.8ポイント上昇した(McNemar検定 p<0.01)。
宿泊先の寝具や睡眠環境について知る機会が増えることで、「よく眠れるかどうか」が宿選びの新たな判断材料になっていく可能性がうかがえる。
05
日本睡眠協会 理事長 内村直尚氏「旅先でもできるかぎりいつもどおりの就寝時間を」
そもそも旅行は非日常を楽しむために行くもので、眠れないというのはそれだけ旅が楽しいということでもあるので、あまり深刻に考え過ぎることなく楽しんでください。
その上で、その「非日常」に緊張・興奮してなかなか寝付けないと思います。また、特に家族や仲間内で行く場合、修学旅行のように話が盛り上がり興奮してなかなか寝付けないものです。
重要なのは、旅先でもできるかぎりいつもどおりの就寝時間を守ることです。特に、翌日早起きだからといつもより早く寝ようとしがちですが、普段より1~2時間早い時間は実は人間が一番覚醒レベルが高く、入眠まで時間がかかってしまいます。
また、仮によく眠れなくても朝は一定の時間に起きましょう。遅くまで寝るとリズムが乱れ、夜に寝付けなくなり、その次の朝に起きられません。そして、光を浴び、朝食を摂り、体を動かして体内時計をリセットします。昼寝や乗り物でのうたたねも30分以内に留めましょう。
男性より女性のほうが旅行先に眠れない方が多いのは、女性のほうが旅行という「非日常」に対するわくわく感が高いからかもしれません。
●宿泊先でよく眠るためのポイント
(1)出発前の準備として、自分に合う枕などの寝具、あるいは光や音を遮るためのアイマスクや耳栓、あるいは愛着のあるぬいぐるみなどを持参してみましょう。
(2)就寝時間を決め、そこから旅程を組んでみましょう。就寝時間はできるだけいつもどおりの時間が望ましく、旅に出る3日くらい前からその時間に就寝しリズムを整えましょう。
(3)お酒を飲むと睡眠の質は下がるので、飲みすぎないよう「ほどほど」にしましょう。
(4)部屋の睡眠環境をできるだけ整えましょう。アイマスクや耳栓も活用し、できるだけ静か(40フォン以下)で暗く(30ルクス以下)し、部屋の湿度は50-60%、室温は19-26℃くらいが目安です。
(5)温泉に行く場合は、就寝する1-2時間前にはお風呂から出るよう心がけて下さい。
内村 直尚氏
久留米大学 理事長・学長 / 日本睡眠学会 理事長 / 日本睡眠協会 理事長
日本初の睡眠障害専門外来を開設した睡眠障害治療・研究のエキスパート。精神科外来の現場では、睡眠障害だけでなく、感情障害・統合失調症・てんかん・認知症・アルコール・心身症・PTSDなど専門領域まで幅広く受け入れている。また、児童思春期の心の問題から緩和ケアまで幅広い臨床を行なっている。
<調査概要>
調査名:秋の旅行と旅先の睡眠に関する実態調査
調査期間:2026年9月25日〜9月28日
調査方法:インターネット調査(QiQUMO)
調査対象:全国の20〜69歳の男女のうち、過去1年以内に国内のホテル・旅館・民宿などに宿泊する旅行をした人(出張のみの宿泊は除く)
有効回答数:1,000名(性別・年代で均等割付)
出典元:株式会社Morght
構成/こじへい




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