Netflixの業績が冴えません。2026年7月~9月の売上高は129億ドルで、12%の増加でした。2桁増ではあるものの、3年ぶりの低い伸び率。10月~12月は134億ドルを見込んでおり、売上の見通しが市場予想に届いていません。
Netflixの株価は1年で40%も下がりました。市場の評価は冷静で、成長性を懸念しているようにも見えます。
広告収入の見通しを10%引き下げ
2026年7月~9月のNetflixの純利益は44%も増加しています。これは前年にブラジルの係争費用を6.2億ドル計上していたことに対する反動で、一時的なもの。営業利益は18%の増加であり、市場予想には届きませんでした。
Netflixの共同CEOであるテッド·サランドス氏が、10月14日に従業員に人員削減を通知したとウォール·ストリート·ジャーナルが報じています。全従業員の6%に相当するもので、2022年以来最大の規模。成長鈍化を印象づけました。
不調の主要因になっているのが、広告売上の伸び悩み。2026年の広告売上の見通しを約30億ドルから約27億ドルへと10%引き下げました。一部の広告商品・機能の展開が想定よりも遅れていることを理由に挙げています。
この説明には2つの側面を併せ持っています。一つ目は、広告の配信機能が整えば、将来的に広告主が出稿しやすい状態が整い、広告収入が増える可能性が高まることです。二つ目は過去の収益機会が失われたことです。例えば、今年の夏休み期間に販売しきれなかった広告枠を、冬休み期間にそのまま販売することはできません。その予算は他社や別のサービスに流れてしまった懸念があります。
広告の配信機能が整えば、将来的に広告料や単価が上がるのか、失われたであろう収益を別の形で取り戻すことができるのか。Netflixはそこに対する具体的な言及をしていません。高い成長の期待感が持てないことも、株価が軟調になっている理由なのではないでしょうか。
総視聴時間のシェアを高めるYouTube
Netflixはヒット作の不足も懸念されています。
2026年上半期のNetflixの世界全体の総視聴時間は970億時間で、前年同期間比で2%の増加に留まりました。一方で、コンテンツへの現金支出は24%近く増加しています。
調査会社ニールセンは、2022年にアメリカのテレビの視聴時間を調べたところ、Netflixは単月で13%近く視聴時間が伸びたとの結果を発表しています。当時はアメリカのストリーミング全体の視聴時間が、コロナ禍で21%も増えていました。
Netflixは2021年に「イカゲーム」の配信を開始しています。
本作は世界的な異例のヒット作となりました。メガヒットの背景には、巣ごもり特需で視聴時間が全体的に伸びていたこともありそう。そう考えると、特需が収束した現在はヒット作を生み出すことがなおさら難しくなります。
一方、勢いを伸ばしているサービスもあります。YouTubeです。ニールセンの別の調査によると、アメリカの2025年8月のテレビ総視聴時間において、YouTubeが占める割合は13.1%でした。2026年同月は15.8%。2.7ポイントも拡大しています。
しかし、Netflixは8.7%から7.7%へと、1.0ポイント低下したのです。
Netflixの共同CEOグレッグ·ピーターズ氏はメディアのインタビューに対して、YouTubeは膨大な視聴時間を生み出しており、優れたモデルを持っていると述べました。スマートフォンやPCまで含めれば、YouTubeの視聴規模はかなり大きくなると、素直にその力を認めたのです。
YouTubeが持つ3つの強みとは
YouTubeはNetflixにはない強みを3つ持っています。一つ目は多数のクリエイターが参加するコンテンツの幅の広さ。二つ目は音楽やポッドキャスト、スポーツ、ショート動画など、視聴するシーンの多様さ。三つ目は広告、ユーザー課金、Music、ショッピングなど、多種多様な課金ポイントを設けられることです。
現在、ユーザー一人当たりの可処分時間の取り合いが激しさを増しています。Netflixのように、1~2時間程度の時間を獲得するのは容易ではありません。映画やドラマだけでなく、ゲームのようなエンタメも競合になってくるためです。
一方、YouTubeはテレビでじっくり視聴することも、隙間時間に必要なコンテンツを得ることもできます。日常生活の中に無理なく入り込める設計になっているのです。
ただし、Netflixも手をこまねいているわけではありません。コンテンツ最高責任者のベラ・バジャリア氏と映画部門責任者のダン・リン氏を交代。視聴を伸ばすために組織体制を刷新しました。
大型スポーツコンテンツの獲得にも力を入れており、2027年·2031年の女子サッカーW杯のアメリカ·カナダでの独占配信を予定。NFLの配信を拡大する方針も打ち出しています。
2026年3月にはベン・アフレック氏が設立した映画制作向けAI企業InterPositiveを買収しました。AIによる映像の修正などにかかる手間が削減されると見られており、同じ予算で、映像表現の幅を広げられる可能性があります。現場で使いやすい制作技術を提供できれば、監督や制作会社にとってNetflixと組む利点にもなるでしょう。
スポーツコンテンツはユーザーを獲得するきっかけになりますが、つなぎ止めには映画·ドラマのコンテンツ力が必要。Netflixの成長にはコンテンツ制作の磨き込みが欠かせません。
新体制のもとで、Netflixがいかなる映像作品を送り込むのか。コロナ特需が収束した今こそ、底力が試される局面だと言えるでしょう。
文/不破聡




DIME MAGAZINE













